「第三者が語る母親像と女優が語る女優像」真実 野々原 ポコタさんの映画レビュー(感想・評価)
第三者が語る母親像と女優が語る女優像
女優の前に母親。 母親の前に女性。
そんなレイヤー構造のフィクションが
カトリーヌ・ドヌーヴとジュリエット・ビノシュ、
物語上の親子関係のふたりを介して
女優然 母親然 女性然 として語られる言葉の数々が
あたかもノンフィクションに置き換えて
ふたりの女性、ふたりの母親、
そしてふたりの女優をさらに介して
そのまま両女優に還元されているかのような作品
…なのかな?
是枝作品の感想を具体的に言語化するのは
簡単なようで、実は難しい。
そう、誰にでも心にある風景を、
胸に去来する心象風景を表現することと
おなじように難しい…
でも漠然としていても、感覚的に
そう、誰にでも自然に理解できているのです。
だから是枝作品が皆さんに親しまれているのでしょう。
そんな稀有な作家性は、本作『真実』でも
今までの作品群に通低している“空気感”を
しっかり醸し出してはいました。
フランスでのロケ、現地俳優を配したことによる
たまにある日本人監督の“洋画に寄せた感”は全くなく、
むしろ“品のある洋画”という印象をわたしは持ちました。
特に世界的名女優が加わったことによる起因!
現場でのカトリーヌ・ドヌーブの進言を
真摯に受け止めながらの過程が…
そんな撮影風景を想像してクスッと笑ってしまいましたが
是枝作品にまた新たな味わいのあるエッセンスを
引き出しているのかな…と、わたしは感じました!
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