「ドヌーブが大阪のオバチャンになっちゃった映画」真実 もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
ドヌーブが大阪のオバチャンになっちゃった映画
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母親と娘との確執を描いた映画は、ベルイマンの『秋のソナタ』を観た後では、余程でないと甘く軽く思えてしまう。それはこの映画でも同じ。是枝監督の演出は手堅くて安心して観てはいられるが、日本人はやはり最後はほのぼので終わらせたいのかな、と物足りない。しかし、そういう映画としては『真実』という題名は少し重い。そこで、果たして口で言っていることが、表情が語っていることが、最後まで「真実」なのか「演技(嘘・仮面)」なのかわからない大女優という食えない生き物のことを描いた映画と思えばしっくりいく(深読みし過ぎかも知れないが)。ドヌーブは映画を観始めた頃は世界一の美女と言われていたものだが、ただの美人女優で終わらず、歳月を重ねて、こんな風に豹皮のコートを着てどや顔で毒舌で食えないオバサンを貫禄たっぷりに演じるようになるとは、フランスの正統な大女優の系譜(劇中で言及されるシモーヌ・シニョレしかり、言及されないがジャンヌ・モローしかり、ブリジット・バルドーの名前が出た時は“トンでもないわ、あんな女が”と鼻にもかけなかったのは面白かったが)にしっかり連なっているのが楽しい。
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