「【”大女優"が演じる大女優の家族が、徐々に再生していく物語を美しく紡ぎ出す是枝監督の職人技に魅入られた作品】」真実 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”大女優"が演じる大女優の家族が、徐々に再生していく物語を美しく紡ぎ出す是枝監督の職人技に魅入られた作品】
ー最初に、
私は年代的にカトリーヌ・ドヌーヴの代表作と言われる数々の作品を”映画館で”観ていない。ー
カトリーヌ演じるファビエンヌの人物造形が秀逸。又、そのファビエンヌが出演する劇中SF劇のマノン・クラヴェル演じる新進女優(母と娘の関係を微妙にしたサラおばさんと呼ばれる今は亡き女優さんに声が似ているらしい:一度も出てこないが・・)とファビエンヌとの関係性の設定も又秀逸。
更に、ファビエンヌの家族構成の妙なる事(名優お二人は勿論、時折亀にさせられる元夫ピエールと長く仕えてきた秘書も含む)。
当初、ファビエンヌの高飛車な態度が鼻につくが、徐々に加齢による脆さ、弱さを呈してくる過程をカトリーヌがある場面では老練狡猾に、ある場面では拗ねる少女のように可愛らしく演じている。
観ている方はこの辺で完全にファビエンヌ=カトリーヌ、リュミール=ジュリエット・ピノシュとして見てしまっている。
そしてファビエンヌが女優としての矜持を見せつつ、娘に徐々に語りだす真実。リュミールも楽しみながら母に色々仕掛ける。(子供まで使って!)
最後までどこまでが本当の真実でどこからが虚構かがはっきり語られないところが是枝監督作品らしい。
それでも、この家族は徐々に距離を縮め、関係性を修復していく。
ファビエンヌが暮らす屋敷の美しい風景及び劇中劇の撮影風景も又、この作品に快い余韻を与えている。
休日の午後、のんびりと肩の力を抜いて鑑賞するのも良し。この家族の関係性をじっくりと観察しながら色々考察するのも良し。
<多様な見方が出来る、実に懐深い作品である。>
NOBUさん
>多様な見方が出来る、実に懐深い作品である。
凄い 締めくくり 本当にそうでしたね。
大女優のわがままさも面白く思えてしまう
劇中のSF劇が また楽しめました。
秘書の淹れる紅茶の湯加減
「ぬるい」と言っていましたが
ちゃんと 適温だろうし
秘書がいなくなってからの紅茶に
火傷しそうになるシーンに笑ってしまった。
孫娘に魔法をかける場面は
ほのぼのとして お茶目なところも見せてくれる
カトリーヌさんでしたね。
夫ピエールが(庭の亀さん)というのも笑えました。
(^^)/
母の真実を知った娘が泣き崩れて
良い場面でしたね。
こんなに楽しめる映画とは思いませんでした。
「是枝作品」は腹を据えて覚悟してスクリーンに向かうけれど、結局弾き返されてしまう「重いテーマ」にここ数作やられ続けていたので(笑)
レビュー書きました。ワンコさんのところにもコメントしました。
「コロナストレスが、人類の文化に破壊的な後遺症を残すのではないか」と危惧しています。マスクとビニールカーテンで、会話ばかりか人と目を合わせなくなってしまった社会。social distanceはmental distanceに変わりつつあります。そんな中で出逢った人間の回復の希望の映画でした。
おはようございます。
俳優の阿部純子さんの映画に寄せたコメントが可愛らしくて、これ↓
「ちょっとの魔法で、
<真実>が、
何度でも生まれ変わる」
朝から失礼しました。