海獣の子供のレビュー・感想・評価
全306件中、61~80件目を表示
大きなものは大きな画面で〜
原作未読ですがまるで細密画が動いている感じ。
クジラやサメが緻密な線で描かれているのため
動いた時の怖さ、本物のザトウ鯨の水中動画の様な
あの怖さが十分伝わって来る。
予告編で観た圧倒的なクジラ描写!
とてつもなく大きいものが描かれている映画は
映画館で観ないと全く意味がない私理論。
それだけでもおすすめです。
で、月に8回程映画館に通う中途半端な映画好きとしては
ライムスター宇多丸さんの評論やネットでのレビューを読んで
日本アニメのど真ん中(ジブリ、押田さん、新海さん)とは
違うところを知りたくて観て来ました。
クジラやサメだけでなく、主人公の日常生活の描写も
とても丁寧に書き込まれていて
彼女を取り巻く世界がしっかり伝わってくる。
難解だという意見もあるそうですが
宇多丸さんの評論や
ネットのレビューを読んでから観に行った私は、
地球の生命は宇宙からの隕石に含まれた物質によって
発生したのではないか?という学説がありますが
それを形にしたような、
海は全ての命の母
という様な話だと理解しました。
命の起源〜
命溢れるこの星が、もう奇跡〜〜
@もう一度観るなら?
「大きいものが描かれている映画は
映画館で観ないと全く意味がないよね」
わかりづらい、と誰か注意しようよ。
原作未読なのですが、途中から完全に置いてけぼりで、何を言ってるのか、何をしてるのか、何がどうなってるのか、が全然わからなくなってしまいました。
不親切で優しくない映画です。
頭の良い人はわかるんですかね、これ。
映像は綺麗で、エンドロールの米津玄師の歌が物凄かったです。
五十嵐大介ファン必見!!!
この作品の魅力は、生命と神秘の描写の素晴らしさです。
私は大学時代に五十嵐大介の「魔女」という作品を読んでから10年弱、その独特の筆致と、それがもたらす神秘や生命の息吹のすばらしい表現に夢中となっていました。
映画の中で描かれているクジラやウミガメ、ジュゴンなどには、実際に水族館で目にする以上に、存在感や生命力を感じました。漫画の筆致が限りなく再現されていることの効果でしょう。
また、神秘的なシーンも、色彩・音声が付いて、一層観客の根源的なところを揺さぶる(不安定にさせる)表現となっていました。
新海誠作品が世界や空気感の描写が素晴らしいと人気をさらっていますが、アニメーション・イラストレーションが表現できるものって、他にあると思います。
この作品からは、磯や土の匂いといった情報まで、映像から伝わってきました。こんな経験を、巷の映像作品からもっと得られれば良いのですが…
さて、この作品を観て、五十嵐作品のファンである私は、その作風の特長が最大限生かされていると感じ、大変満足しました。
ただ、この作品がTVで宣伝されていたほど、大衆受けする作品であったのかは、個人的に疑問ですが…
(五十嵐作品の知名度が上がったのは、ファンとして嬉しいです)
今後、五十嵐作品の映像化が進んでいくことを切に願います。
生きている不思議死んでゆく不思議
原作は知りませんタダ券もらったので観ました
終盤の意味不明映像ゾーンは2001年宇宙の旅の系譜だと思いました
要するに宇宙、地球、命、生と死、は不思議で神秘で意味不明で理解不能なものなので、それが分かりやすくなるよう、極端にいみわならない意味不明で不思議で神秘なものとして映像にしてるわけです
こういう映像に意味が分からない、難解だ、という感想を抱くのは大変ナンセンスです
原作はわかりませんけど この映画は言葉でとてもわかりやすく説明してくれており 難解という映画ではないと思いました
宇宙から隕石が落ちて、地球に生命が誕生した
プランクトンを魚が食べ、さらに大きな魚がそれを食べ、鳥がそれを食べ、哺乳類がそれを食べ、人間が食べ、人間が死に土に帰り、腐り、雨が降り、植物を育て、太陽が照り、光合成をし、海の水が蒸発し、雲を作り、また雨が降り、動物たちは命をつくり世代を継いで行く、地球の全ては巡り巡って同じもので構成されています
この地球にかつて存在していたもの、つまり宇宙にかつて存在していたものは全て、今の自分のどこかを構成している、つまり生きている限り、死んでしまった人もずっと一緒に生きていていつも繋がっていて何度でも会える
存在も不在も生も死もタナトスもエロスも他人と自分も全部結局は同じ、地球という大きな生命体の一つの細胞だ、ということだな〜と
最後、新しい命が産まれるシーンではなぜか対照的に「命を絶つ」音を感じる 生と死は表裏一体なのだということが印象的に描かれており、実際ハサミに力を込める描写は私は少し見てて痛かったです
正直そういう普遍的なテーマと主人公少女の成長話はうまく噛み合っておらず なぜ最後では足をひっかけてきた性格ブスを許そうという気になったのは分かりませんが 原作のある映画なのでまあいろいろはしょられたりしたんでしょう(と大目にみました)
ながながとしゃべりましたが原作しらんし途中眠くて寝たんでほんとうに断片的に観た感想です
一番の見せ場はやはりエンドロールではないですか?
米津玄師 特に好きじゃないけどマジ非凡だなと思いましたね
いくら映画に合わせてって頼まれても普通ここまでのヤバ曲つくれないでしょ 本編で泣くシーン一ミリもなかったけどサビで涙目になっちゃった
エンドロールの映像ももう少しがんばればよかったのに…
あと!芦田愛菜ちゃん 君は神に何物を与えられたのだ?!声優うまいよ!!
感性に訴えかける作品
原作も知らず、予告編も観ずに映画館に行ってしまいました。
前半は江ノ島付近の風景や江ノ電走行シーンなどをニヤニヤしながら見ていましたが、後半は海、鯨、そして人間から宇宙の神秘へと真理の探求的な話へスケールアップ。
海のシーンや宇宙的なシーンもとても綺麗な映像でした。
そして感性が試される作品でした。
私は好きです、こういう作品。
感じることは人によって相当異なる映画
伝わる人にはいろんなメッセージが伝わるし、伝わらない人には映像美にしか目がいかなかったり、意味がわからなかったりだと思いました。終盤に、20分くらいめちゃくちゃ抽象化されたイメージがただ映し出される、台詞もあんまり無いシーンがあります。私はそこにメッセージが凝縮されているように感じたんですけど、いくら考えても理解が及ばない。それくらい、原作者さんの概念がそのまま絵になってる感じでした。まだそこまで多くの映画を見たわけではありませんが、この映画が一番難しかった。人情劇を観たいのなら他を観た方がいいんじゃないかと、思います。
この映画を難しくしているものの1つに、散りばめられているであろうヒントたちが難しすぎるってことが挙げられるんじゃないでしょうか。
ここからは私の意見なんですが、主人公の名前が琉花、ルカじゃないですか。LUCAって生物の一番の祖先の、共通祖先ってやつの名前なんです。上にも書いたラストの琉花がクジラに飲まれてからのシーンで、琉花の体内の隕石がソングに共鳴していたと思うんですが、その時琉花は子宮のあたりを抑えていたように見えたんです。そして、琉花がどんどん広がっていって、宇宙を飲み込む。新たな宇宙となる海を、一度産みなおしたって表現だと思ったのですが、赤ちゃんにし、隕石を飲ませ、海と空は宇宙となり、琉花によって産み出された宇宙は数々の銀河となり、すべての生物の命の種となる…みたいな。琉花がこの宇宙の一番最初の生命となったとも受け取れました。主人公の名前1つとっても、様々な考えが生み出せると思います。
ただ、この映画で一番大事なことは、それぞれが感じた何かしらのメッセージだと思います。解明できない、言語化できないこの世界の大半を、言語の中に無理やり押し込むのではなくそのままに感じ取ることの大切さを映画の中で語っていました。大切なことは言葉にならないんです。原作なら絵で、映画なら映像で、言語化できない作者からの膨大なメッセージが色になって押し寄せてきます。それを無理に言語化せずに、なにか人生の糧にできるのなら、それがこの映画の一番のメッセージが伝わっているということになるのではないでしょうか。
どんな人にも説明できないような、言語を超えたメッセージのこもった、とても面白い作品でした。
作家性を感じる映画
中学生女子のルカは、世間からみればトラブルメーカー。
夏休み初日のハンドボール部の部活でもトラブルを起こして、もう来るな、と言われてしまった。
ま、することがなくなった彼女は、父が勤める水族館へとやって来、水族館の大水槽を傍若無人に泳ぐ少年・海と出会う。
海は、兄・空とともにジュゴンに育てられた父から教えられたルカ。
その後、空の居場所もわかり、ふたりと交流を重ねていくが・・・
といったところから始まる物語で、原作がマンガだとは後で知ったが、宮崎駿監督『崖の上のポニョ』へのアンサーソングならぬアンサー映画だと感じました。
ま、そう思ったのは個人的意見なのですが、海も空も、タイトルどおり海の子供。
それに、陸の子供ルカが出逢う。
けれども、海も陸も繋がっていて、さらには宇宙も繋がっている。
宇宙、というのは「いま、ある空間」なのだけれど、「かつてあった時間」まで繋がっている、とこの映画ではいっている。
『崖の上のポニョ』で、中盤、嵐の後に古生代の生きものが現出したのに、どこか似ている。
そういうことを思ったんだよ、と監督がいっている。
それは、地球の営み以上なんだよ、ともいっている。
そこんところは、原作マンガに依るのかもしれないが、そういう原作を選ぶの作家性。
それで、この映画はいいじゃない。
近年、日本映画では(アニメも含めて)作家性のある若い力は出てこなかったと思うから。
ま、個人的には、目玉が大きいばかりの人物造形には辟易なんだけれども。
原作を読みたくなった。
表現、展開、全体的に綺麗に纏まってると思いました。
言葉をそのまま聞くのではなく言葉の奥に込められた意味や想いを感じられる人でないと難解な作品だと思います。
テーマも壮大で奥が深い。
印象的なセリフも心に残るものも多い。
目で見えるもの、耳で聞こえる表面ではなく、その奥にあるものを感じられないとただのカオスで退屈な時間なのかもしれない。
"普通だったら"とか"こうだからこう"みたいなのを自分の中に強く持ってる人は途中から置いてけぼりになるかもしれない。
この映画の理解をわざわざ説明したくなる時点で何かが違うのかもしれない。
自分の想いをコトバにはできなくても
自分の感覚を大事にしたいと思えた。
出会えたことが嬉しい作品。
フィクションのドキュメンタリー映画
夏休みを迎えた中学生の少女ルカと、ジュゴンに育てられたという少年ウミの一夏の物語。
という本作の予告を目にすると、さも壮大な冒険劇があるのだなぁと思うだろう。残念ながら、その期待は裏切られることとなる。
ネタバレになるが、少年は人間ではなく、全宇宙が送った、人間に対して生命の真理を伝えるために送られるメッセンジャーだったのだ。
そのメッセンジャーの彼が、少女ルカに対してこの世の理を、クジラの誕生祭を通して伝える、というのが本編の本筋となる。よって、なにか起承転結がある、というよりはその自然現象を観衆は、抽象的かつダイナミックな映像とともに上映時間の半分以上眺めることとなる。
そう、これはまさにファンタジーのドキュメンタリーなのだ。
正直、つまらなさそう…と思われるだろうが、原作もそもそもそういうものなのでアニメーションによる"劇"を観るのではなく、"アート鑑賞"の心持ちで臨んだ方が些か肩透かしを喰らわずに済むだろう。その点、映像美に関しては近年稀に見る壮大さと繊細さを本作は放つ。
テーマは語られないが、環境やこの世界の根源はみな同じで、人間もその他の生物も、宇宙も仲良くしましょう!というものだ。
海と生命を舞台にした最高のアニメーション表現
いろんなところで言われている通り、中盤以降のストーリーは難解。
ストーリーというよりも、途中からは抽象的な美術表現によって
繰り返し、メッセージを訴えていく、というようおな映画に変わる。
その美術的表現の意味合いを理解するのが難しい。
ところどころ合間に、キャラクターの「~なんだ。」というような、分かったような説明セリフが挿入されるせいで、余計その難解さが際立ってしまう。
「え?このキャラはなんかわかっているような発言をしているけど、全然よく分からないんだけど...」
という思考を繰り返してしまい、中盤以降は見ているエネルギーが無くなった。見続けるのがつらく、どこまでこの抽象表現が続くのだろう、という気分になった。
各々のキャラクターが、その映画を貫くテーマを体現しているようだが、そのメッセージや、一つ一つの行動や描写の表現の意味が理解できないのもつらい。そのため、感情移入ができるキャラクターも全くいなかった..。
ただ、全般を通じて、日常から宇宙に至るまでのアニメーション表現は素晴らしい。
これまでっみた映画の中でも、「アニメーション」という観点では、かなりレベルも高く、すさまじい描写が続いた。
凄まじいアニメーションを見に行く、という観点で見にいって、
この映画のメッセージや各シーンや描写の解釈は
玄人のブログやラジオを聞いて補強するのがいいと思う。
見る人によって評価が分かれる作品
きれいな映像と合ったきれいな音楽を聞くために見た。
映像は迫力があってキレイで、素晴らしかった。
でも内容が難解で感情移入する事が出来なかった。
映像が素晴らしいクライマックスであのテーマソングが流れていたら、もう少し心を動かされたかもしれない。
芦田愛菜さん他声優さんの声は自然で、話に誘導してくれた。
テーマが深すぎるのと、音楽が効果的に使われて無いのが残念だった…
しかし、あの壮大な世界観にはまる人には心に残る作品になっていると思う。
評価が難しい
非常に難解な映画。しかも評価が極めて難しい。映像のインパクトは凄い。これしかないとの評は多いがそれだけでも相当なレベルで見た事のない映画。テーマ的にはむしろありきたりだがなかなか解釈が一筋縄ではいかない。原作本が気になるところだ。読んで見てもう一度考えたい。
映像を楽しむだけの雰囲気映画
原作1巻を読み、映画化されることを知ったので続きを読まずに我慢して映画館に見に行きました。
結論から言うと、今まで見た映画の中で一番と言えるくらい最低でした。
映像と音楽、特に海やそこを泳ぐ魚の描写はとても綺麗です。
逆に言うとそれだけです。
確かに説明を細かくするタイプの話ではないことは認めます。
それにしても、説明も描写も行動原理も何もかもが不足しています。
ただただ、なんとなく雰囲気の良いミステリアスな描写を出しては、宙ぶらりんで説明なし。
それの繰り返しです。
ラスト30分は本当に苦痛で、生まれて初めて映画の途中で帰りたくなりました。
精神世界の話なのか、SFなのか、科学的にリアルな話なのか、私はなにを見せられてるんだろう?そんな気持ちになります。
もはやセリフも会話になっていません。
何を言っているのかわかりません。
それっぽい聞こえのいいかっこいい言葉を吐いては、視聴者は置いてきぼり。
せっかく米津玄師さんの素敵な曲が主題歌なのに、聞けるのはエンディングのみ。
一番盛り上がる星空と海がみえるシーンで聞けるのかと楽しみにしていましたが、これも肩透かし。
さっさと原作だけ楽しめば良かったです。
期待値が高かっただけに最悪でした
個人の感想です。
原作が好きなわたしにとってあの映画は、最悪でした。
わたしはもともと原作者五十嵐大介さんのファンです。
連載中から読んでおり、当時高校生のわたしにとってバイブルだっただけに映画のひどさが観ていて辛く感じました。
後半はもはや悔し涙を浮かべながら観ました。
ただ映像は綺麗でした。
観てよかった点は画力の高さ一点のみ。
海の生き物のシーンは大きな水槽をのぞいてるようでした。
また、細かい描写の迫力にも引き込まれました。
話の内容は、途中からガンガン勝手に盛り上がるキャラたちのテンションに全くついていけず…話の説明がひたすらなく、フラグを立てないままフラグ回収だけしていく!という感じ。
キャラ紹介も雑なまま話はどんどん進み、大事なキャラも突然強引に出てくるし、いやだから誰だよ!という感じ。観ているこちらは完全に置いてけぼりです。
足元のアップあんなに何回もいる?とか、食事のシーンにあんなに時間割くならもっと丁寧に話を進めてくれよ…とか。
食事が生物の循環を表しているみたいな意見も聞きましたが、そこだけ?という感じ。
観ながら文句がたくさん浮かんできてしまいました。
また、のっぺりとした俳優さんの声で恥ずかしい感じのセリフを次々に読まれて…もう早く終わらないかなあと思ったほど。
せめて、声が全員プロの声優さんならもう少しすんなり受け入れられたかもしれません。
芦田愛菜さんの声ですら、独特なまなちゃん口調が気になってしまったほどでした。
真剣なシーンもなんだか面白くて、何度も笑いをこらえてしまいました。
原作はもっともっと丁寧で、実際に語り継がれる民話なども織り交ぜながら話が進むので、とてもリアルでどんどん引き込まれるつくりになっています。
結末も全く違います。
映画のような謎のアニメ感の強い終わり方ではないですし、エンディングの後のとってつけたようなシーンも、もっと繊細に描かれています。
というか最後あんなに、ハッピーだね!おわり!みたいに終わっておいてエンディングの後に更に話を続けるの、なんだかとても往生際が悪く感じました。
原作は本当に面白いのに、映画でたくさんの人に海獣の子供という作品を誤解されたんだな…ということがひたすら悲しいです。
あと、ラジオのアフターシックスジャンクションで宇多丸さんが絶賛していたのもあって、めちゃくちゃ期待値上がっていました。
もう宇多丸さんが信用できない…。
観たことで色々なものを失った映画です。。
作品崩壊
以下、あくまで個人的な感想です。
この作品を、とても誤解している映画だと思いました。
映像と音楽だけでいいなら、ストーリーのないただのMVにすればよいと思います。
主題歌に「大切なことは言葉にならない」とありますが、
「大切なことは言葉にしない」の間違いではないでしょうか。
映画のエピローグで、琉花は「一番大切な約束は、言葉では交わさない。」と言っています。
この作品にとって、欠かすことのできないとても大切なセリフなのですが、映画を見ただけでは、意味が分かりずらいように思います。
原作のエピローグでは、大人になった琉花が、「”るか”にとってあの夏は”約束”だった。空、海、すべての時間と約束を交わした。私はその約束をずっと守るって決めた。
一番大切な約束は、言葉では交わさない。だから誰かに説明することもできないし、時にあいまいにしてしまいそうになる。でもいつでも体の一番奥でちゃんとつながっている。」と前後を補っています。
また、海が、声の出なくなるシーンでは、琉花は「言葉で話すと、言葉にならないことはないことになっちゃう。それは嫌。だったら言わない方がいい。でも黙ってても、いつもどうしたらいいか分からなくなる。」
(だから、クジラは思ってることがそのまま伝えられるなんて、すごいと思った。)とも言っています。
デデは、祭りのことについて「大切なことは、言葉なんかにしない方がいい。あの子(琉花)はそれが分かってるのさ。」と言っています。
そういう流れを踏まえると、映画のエピローグは、とてもちぐはぐに見えてしまいます。
琉花の髪が伸びていますが、これは時間の経過を示すと同時に、琉花は夏休みの後、ハンドボール部には戻らなかったことを暗示しているのではないでしょうか?
琉花が再び部活に戻るのは、原作にはない映画のオリジナルシーンですが、仲間に囲まれ、日常生活を送る中で、その夏のことを忘れていってしまえば、一番大切な約束を破ったことになってしまいます。
普通の人は、へその緒を切って「命を絶つ感触がした。」とは思いません。しかし、琉花はまだ高校生で、夏を共に仲良く過ごし、好きになっていた海と空との別れ(死)が心に強く残っていたから、
そう思ってしまったのではないかと思います。若い彼女にとっては、心に傷が残るほどショッキングな出来事だったのでしょう。
空も海も、ひと夏であっという間にいなくなり、目に見える周りには何も残っていないけれど、琉花の心にはとても鮮明に残ったものがある。彼女はそれを指針(コンパス)に一生生きていこうと心に誓った。
それは彼女ひとりの誓いではなく、空、海、すべての時間と、そういう約束を交わしたのだと思います。
「大切なことは言葉にならない」というのは、人間同士の場合であって、琉花が約束をした相手は、人間ではなく、この世界そのものなのですから
「(世界との)大切な約束には、言葉は使わない、必要がない。(ただその約束を信じ切り、守り切る自分の心さえあればいい。)」のではないでしょうか。
「一番大切な約束は、言葉では交わさない。」
言葉が人間同士のテレパシーであるなら、「言葉にしないこと」は、星同士のテレパシーだと言えるのではないでしょうか。
「人は乳房」
人間は、あってもなくても、どちらでもよいもの。
この物語の主人公は、琉花や海の子供たちではなく、宇宙に広がる世界そのものなのでしょう。
全306件中、61~80件目を表示