「フィクションのドキュメンタリー映画」海獣の子供 lay.aさんの映画レビュー(感想・評価)
フィクションのドキュメンタリー映画
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夏休みを迎えた中学生の少女ルカと、ジュゴンに育てられたという少年ウミの一夏の物語。
という本作の予告を目にすると、さも壮大な冒険劇があるのだなぁと思うだろう。残念ながら、その期待は裏切られることとなる。
ネタバレになるが、少年は人間ではなく、全宇宙が送った、人間に対して生命の真理を伝えるために送られるメッセンジャーだったのだ。
そのメッセンジャーの彼が、少女ルカに対してこの世の理を、クジラの誕生祭を通して伝える、というのが本編の本筋となる。よって、なにか起承転結がある、というよりはその自然現象を観衆は、抽象的かつダイナミックな映像とともに上映時間の半分以上眺めることとなる。
そう、これはまさにファンタジーのドキュメンタリーなのだ。
正直、つまらなさそう…と思われるだろうが、原作もそもそもそういうものなのでアニメーションによる"劇"を観るのではなく、"アート鑑賞"の心持ちで臨んだ方が些か肩透かしを喰らわずに済むだろう。その点、映像美に関しては近年稀に見る壮大さと繊細さを本作は放つ。
テーマは語られないが、環境やこの世界の根源はみな同じで、人間もその他の生物も、宇宙も仲良くしましょう!というものだ。
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