劇場公開日 2019年5月31日

「無垢な少年に映る綺麗事な世界と事実との奇蹟、エンドロール前の言葉に涙する」僕はイエス様が嫌い かわちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5無垢な少年に映る綺麗事な世界と事実との奇蹟、エンドロール前の言葉に涙する

2020年12月25日
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鑑賞方法:TV地上波

泣ける

悲しい

ここまでストンと落ちる、リアルなドラマは初めてだった。エンドロール前に入るあのフレーズで、抱いていた悶々たる感情が清算され、涙が止まらなかった。
東京から転校してきた由来は、北海道の小学校がキリスト教を信仰していることに躊躇いを覚える。違和感を覚えつつも、無垢で無知な彼は、次第に新たな世界を開いていく。その過程で出会う、友の存在と小さなイエス様。友は瞬間を、イエス様は願いを叶えてゆく。イエス様の可愛らしくて気になってしまう動き、その掛け合いもなんだか面白い。しかし、事態は暗転する…。このタイトルの意味が次第にわかってゆくとき、目を背けたくなるような事実とすれ違いが起きる。神様へのアンチではなく、ひとりの少年がモノを知るときに生まれる感情の奇蹟、それがいかに美しくて儚いものか。ドラマ全体では汲み取りにくかった部分が、エンドロール前に入るあのフレーズで全てが合点するとき、その意味が初めて為すのだった。
あまりにも自然に溶け込む日常のリアルと、異文化との出会い。やっぱり僕は…となる意味が、監督の根底にある感情から気迫として現れ、強い意思で出来た作品なことを体感した。

たいよーさん。