「洋画嫌いを是正してくるようなエンタメ作品、「むかしむかし…」と言う名のタイトルに納得」ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
洋画嫌いを是正してくるようなエンタメ作品、「むかしむかし…」と言う名のタイトルに納得
手が届く前は高尚なものが、手にしたら実像が小さく見えることはないだろうか。まるで、欲しかったものを手にしたときに冷める、そんな感覚。しかし、本作は違う。高尚な雰囲気が続き、終わってもなお、届かないような雰囲気がしている。本作を"おとぎ話"として観たことで見えてくるメッセージに、驚きが隠せない。
個人的に、洋画はこんがらがるのであまり観ない。誰がどの顔か分からなくなるから…笑。正直、本作もあまり導入で掴みきれずに進んでいった。ただ、振り返ってみると、丹念に進んでいたものたちが形をなしていき、あのラストに繋がると思うと、すごく興奮する。また、タイトルが持つ意味が作品のメッセージをより捉えやすくしてくれている。ハリウッドの全盛に香るロマンとセレブたる暮らしと、少しずつ崩れてゆく足元。まじまじと観たくなるシーンも多いが、全体のチャプターひとつひとつが長くて合わなかった節も。しかし、それでもなお、ラストの衝撃は鋭くて卑しくてたまらなかった。前提に置かれた事実をフェアリーテイルとしたひとつの答えが、衝撃的かつ革新的だった。
掴みきれなかった分、もう少し面白く観れたのだろうが、アレルギー的に洋画を避けていた私の心をこじ開ける、そんな作品だった。映画愛を具現化した作品として映るのも納得。ハリウッドの凄みをまじまじと魅せられた。
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