「「野火」の続編で前日譚」斬、 青空ぷらすさんの映画レビュー(感想・評価)
「野火」の続編で前日譚
塚本晋也監督の前作「野火」は、戦争という巨大な理不尽に翻弄され、(ある意味)怪物にされてしまった男の物語だった。
対して本作はそんな前作「野火」の(精神的)続編であり、舞台設定的には前日譚とも言える作品で、“怪物に憧れる男が怪物になるまで”を描いた「裏・七人の侍」と言えるかもしれない。
侍や剣豪をヒーローとしてではなく殺人者として、日本刀を暴力装置として描く塚本監督の試みは「野火」で描かれた本質をより掘り下げる形になっていて、その視線は非常に現代的。
まぁ、そもそも時代劇は、「時代劇」という形の中に現代性を反映させるモノなので、そういう意味で
本作は時代劇として非常に正しいし、前作「野火」から塚本監督の映画に対する意識みたいなものがハッキリと切り替わっている。
それは何かと不穏な現代社会に対して、塚本監督が感じる危機感の表れでもあり、警告でもあるのだと思う。
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