劇場公開日 2018年11月24日

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「重く響く時代劇」斬、 白波さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0重く響く時代劇

2019年1月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

オープニングからその音楽にやられます。
もうとにかく格好良い。
長年連れ添った石川忠の音楽。映画完成前に亡くなってしまったのは本当に残念でした。
しかし残された音を監督自ら編集していることもあって、マッチングが素晴らしいのです。
いつものように空気感が良く、少し張り詰めた感じが良く出ていました。
鋼の音も効果的で、刃の重みも伝わってきたのが個人的に良かったです。
物語は勧善懲悪な復讐劇などではなく、望まぬとも巻き込まれてしまう人間の業や輪廻のような世界を良く描いていました。
主演の池松壮亮も初めて見た「銀と金」を思うととても成長が見られ、雰囲気がとても良くなっていました。
ただ周りを囲むキャストが凄いので、やはり少し軽さを感じます。
意外だったのは刀がテーマな割には血しぶきがなかったことでしょうか。いつもならもっと吹き出していると思うのですが、やや控えめな印象。
ラストの置き方はとても監督らしく、鑑賞後はとても心地よかったですよ。そしてエンドロールでの石川忠のクレジット、このオマージュたっぷりの演出に少し泣きそうになりました。
いわゆるチャンバラ映画とは違いますが、切り取り方がとても面白く実に塚本作品です。
腹に響く時代劇でした。

白波