「それでも?」斬、 nakadakanさんの映画レビュー(感想・評価)
それでも?
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金属音を交え不穏に響く音楽、生々しい自然の風景と血生臭い斬り合いは、異様な迫力がありました。
暴力の結果としての流血描写も、やはり潔くグロテスクで良かったです。
主演の池松壮亮の身体能力の高さを見せつける殺陣や、蒼井優の演技の振り幅、塚本晋也監督の鬼気迫る執念の表情など、役者陣も素晴らしかったと思います。
舞台は、長い泰平の世が続いたものの開国に揺れる江戸末期ということで、戦争放棄の憲法で平和が続いたもののその憲法を変えるのか、という日本の現状をイメージしているそうです。
蒼井優の感情的に怒りを現す人物像は、さながら感情的で起伏の激しい現代の世論を象徴しているのかと感じられました。
対する池松壮亮の報復し合ってもきりがないという冷静な信念は、成る程と思いました。
しかし実際に暴力を目の前にした時、どうすべきか。
蒼井優が襲われる場面は、普通はここで斬るべきだろう、それでも斬らないのかよ!、と思いましたが、一般的な理解を超えたような信念は肯定も否定も出来ず、悩まされます。
報復による暴力の連鎖など、考えさせられます。
舞台挨拶のある上映を観ることが出来ましたが、ローカルな映画館に来てもらえるとは、ありがたかったです。
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