「※テレビドラマの総編集版です」コールド・アンド・ファイヤー 凍土を覆う戦火 Jackalさんの映画レビュー(感想・評価)
※テレビドラマの総編集版です
デンマーク戦争(第二次シュレースヴィヒ=ホルシュタイン戦争)の中で描かれる、兄弟の絆と恋の物語です。
映画の内容としては、主人公の2人と幼なじみの女性を中心に描かれており、歴史的な話よりも彼らの微妙な関係性(三角関係や互いに対する気持ちの変化)がメインです。
確かに、戦闘シーンもしっかりと作られていて、結構グロいところもあります。しかし、あくまでも『戦争の中での3人の生き方・あり方』が中心であって、単なるドンパチ映画を期待していると途中で飽きます苦笑
さて、タイトルにも書きましたが、私が一番レビューで伝えたいことは、この映画が【ドラマの総編集版】だということです。
まず、歴史映画であるにもかかわらず、説明が極めて薄いです。ドラマでは、当時のプロシア・デンマークの関係性や外交過程、政治面、軍事作戦など細かく描かれていますが、この映画では『単にプロシアが攻めてくるだけ』です。よほど歴史に詳しい人でも、登場人物の説明すら割愛が多いのでよく分からないと思います。
特に、プロシア側の最重要人物(ビスマルクやモルトケなど)が出てこないので歴史映画としては微妙です。
また、恋愛映画としても、8時間分の内容を2時間に圧縮しているので大変呆気ない展開に思えます。要は恋愛の過程が薄いのです。彼らの激しい想いや壮絶な葛藤が僅かなシーンでしか描かれてません。多分、映画を見終わった後に『なんだこりゃ??』となる人も多いと思います。
総じて、中途半端な映画と言えなくもありません。しかし、19世紀後半の戦争映画は全く作られておらず、この映画は当時の雰囲気を楽しむのに最適でもあります。また、テレビドラマ版はデンマーク語吹替と英語字幕しかないため、現状この映画が唯一のデンマーク戦争ものです。『大河ドラマの総編集』というイメージをもって観られるのがいいと思います。
もし、フルストーリーを楽しみたい方は2014年のドラマ版『1864』をどうぞ。