ブレッドウィナーのレビュー・感想・評価
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現実を打ち出したアニメ作品
不幸や悲劇がアニメーションで描かれることの意味を感じた作品だった。日本でも「この世界の片隅に」が話題となったが、暗い現実をアニメ化すると、どうも物悲しさが増す。 アニメで描かれることで、あの彩りや、子供の笑顔、小さな主人公をすごく大切なものと思えるようになる。守らなければならない存在としての在り方が強くなっているように思う。 絶対に誰も奪ってはいけない、汚してはいけないもののように思えてくるのだ。 自分の性を失わなきゃ生きていけない社会なんてあってはならないよね。本当に。 この映画のラストが何とも言えない。勝ちでも負けでもなく、晴れでも雨でもなく、ただ諭すように我々に紛争の醜さを知らしめてくれた作品だった。
『ソング・オブ・ザ・シー』のカートゥーン・サルーンによる『生きのび...
『ソング・オブ・ザ・シー』のカートゥーン・サルーンによる『生きのびるために(劇場公開タイトル:ブレッドウィナー)』鑑賞。 幻想的な過去作と違いタリバン占領下のアフガニスタンで生きる家族の過酷な日常が描かれた本作は観てて胸が詰まる。戦時下でお伽話を空想するのは『パンズ・ラビリンス』に似てるがその物語は自分を鼓舞するためでもあったりする。 実際はもっと悲惨な事があったんだろうと容易に想像出来る。 世界には理由もなく弱き者が迫害され女性が権限を奪われる地もあるのだと日本人も知らなくてはならない。アニメだから伝わる事もあれば伝えられない事もあるかもしれない。ただそれでも『ブレッドウィナー』は観ておくべき映画だと思う。 『ブレッドウィナー』の劇中にはこういうセリフがある。 「花は雷ではなく雨で育つ」 争いや怒りではなく慈しみややさしさで砂漠の地に平和の花を咲かせようと言うメッセージだろう。こういう素晴らしい作品を生み出し観せてくれたカートゥーン・サルーンに感謝。
哀しいお話、けれど観て良かった。
日本に住んでいる自分には到底現実とは思えない世界。でも、実際にこうして善良な市民が無力にも被害を受けている現実がある。 とても、辛く、悲しい。世の中からこうした暴力で苦しむ人が少しでも減って欲しいと、願わずにはいられない。 何も出来ないとしても、知るという事はとても大事。観て良かったです。
知識と教養の大切さ
タリバンの話はホントに辛くて夢であってほしいと思うばかり。自分の無力さを痛感して切なくなる。 この映画は宗教的弾圧で女性が差別されていることをメインに描く。寓話は自分たちの境遇を表している。秀逸なのが教育者が死にかけるが寓話を胸に救出に向かう娘と教養に触れて改心したと見える協力者の心のつながり。無知こそ罪で教育こそ愛と思った。
Brave
タリバン政権下のアフガンを舞台にその不条理を訴えながらも、それに抗する少年に化した少女の姿を通して、より普遍的なその勇敢な意思のなせることへの希求を伝える。物語に出てくる背後からついてくる影は恐れか。それを排して智力を持って立ち向かう。このような特殊な世界でなくとも、どの世界においても不条理とは共存し、それに怯える我々自身も意識してしまう。 少女が少年になり行動の自由を獲得するさまは、ダイバーシティの観点でも普遍性を帯びる。ストーリーと共に語られる物語が見事にシンクロして、アニメ自体のクオリティも高いが、なによりも脚本がうまさに感心させられる。
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