「スタートレック万能伝説が始まったな」500ページの夢の束 つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
スタートレック万能伝説が始まったな
スタートレックは映画を一本観たことあるくらいの知識しかないけど、それでも大丈夫だった。
もしかしたらスタートレックに詳しいともっと面白いのかもしれないけど、本作を観る前にまさかそんな知識が必要とは思わないもんな。
アメリカのスタートレック人気恐るべしだね。
この作品は妹ウェンディと姉オードリーの再生の物語で、自閉症の主人公というのは実はそんなに重要なテーマではないんだな。
わりとポップであたたかい気持ちになれるのも良かった。
主人公ウェンディは人との関係を構築するのが苦手だ。姉オードリーはそんな妹ウェンディとどのように接すればいいかわからずにいる。施設の院長スコッティもまた息子との関係がうまくいかずにいる。
しかし問題の本質は、どのように接するかではなく、相手の気持ちを見ること、知ること、知ろうとすることだ。
スタートレックが好き。その一点だけでも人はわかり合える。
スタートレックは院長スコッティと息子との距離を縮め、ウェンディと見知らぬ警官は心を通わせることもできた。
ウェンディは自分と姉を、スタートレックのスポックとカーク船長に置き換えて物語を紡ぐ。それはウェンディのから姉オードリーに伝えたい言葉、伝えたい物語。いわゆるウェンディなりの愛情表現なのだ。
大好きな姉オードリーを綴った大好きなスタートレックの脚本を届ける旅はウェンディにいくつもの初めてを与える光の旅だった。
その旅はウェンディにも大きな成長をあたえたと思う。
帰ってきたウェンディは毎日のルーティーンから外れるストライプのセーターを着て、職場の同僚との関係構築にも努力している。
映画会社からの手紙は姉オードリーからウェンディに向けた言葉。もしかしたらオードリーが書いた手紙なのかもしれない。
どこかへいった光の粒は二人の心の中に。