「好きが身を助くロードムービー(お犬さま最&高)」500ページの夢の束 だいずさんの映画レビュー(感想・評価)
好きが身を助くロードムービー(お犬さま最&高)
原題のPlease Stand Byってどういう意味かなーと思ってたら「そのまま待機」とセリフで訳されていました。
パニックを起こすウェンディを落ち着かせる呪文として。
スタートレックに出てくるんですかね?知らんけど。
わたしはスターウォーズとは違うことくらいしか知らないので…
スタートレックを知ってると楽しいみたいですが、全くの無知でも十分楽しめます。
両隣の方が、楽しげに笑ってはりました。
500ページってのは若干ふかしみたいですよ。
セリフでは475か472ページだってウェンディが言っていたので。
ウェンディはひとりでできることが少ないです。
でもスタートレックについては誰よりも造詣がふかくて、職場のオタクたちとのトリビアクイズも余裕で勝ちます。
あと、編み物が得意な様子。
毎日のセーターは手編みかしら?
できることが少ないが故、施設で暮らし、姪にまだ会ってない。
大好きな姉と暮らせない。
オークランドとロサンゼルスは同じカルフォルニア州なのに、旅費もままならない。
世界が響かせる様々な音が苦手。
優しい人だけじゃないし、人づきあいも得意じゃない。
そんなアウェイな状況下でパラマウントフィルムまで脚本を届けるという旅です。
結構ヘビーな旅です。砂漠に放り出され、金は盗まれ、事故に遭い、病院から警官から逃走w
彼女を助けたのはスタートレックでした。
好きなものが困難をかいくぐらせてくれたっていうのは、わたしを暖めてくれます。
パンドラの匣の隅っこにある希望みたい。
少ない手駒も磨けば万能、そんな風に思いました。
姉と施設の職員に山ほど心配かけましたがちゃんと届けたのです。
ウェンディはやり遂げた。かっこよかったです。
そして、ラストで姪を抱きながらオードリーの肩に身を寄せるところで、急に目から溢れる塩水で視界が霞みました。
ウェンディの望みはスタートレックを愛し、編み物をし、ピートと暮らして、姉のそばにいること。
自分の望みがちゃんとわかっていて、それをみんな持ってる。まさに人生の勝者。
姉オードリーの切なさは、あまり正面切って描かれませんが、想像させるものがありました。
器の大きな母を失い、一人でウェンディの世話をするのは大変だったと思います。
結婚して妊娠して、ウェンディの世話をしていられない、さらに言うと、ウェンディを足枷のように思うこともあったと思います。
そしてそう思う自分を責めてもいるかもしれません。
なんでわたしだけと、思わずにいられなかったでしょう。
ね、オードリーはがんばったよ。がんばってるよ。
ピートが演技上手くってめちゃ和みました。
めっちゃいいタイミングで立ち止まり、座り込み、おしっこ!さい&こう!
ウェンディのお金を盗んだ女にちゃんと吠えてたし。
お洋服がスタートレックのマークだったってのはわたし無知だからわかりませんでしたが。
ナイスでした。
ダコタファニングは17歳のエンディングノートぶりでしたが、やっぱいいなぁと思いました。そして声がエルに似てる。これからも頑張ってほしいです。