「『魔女の宅急便』で飛べなくなったキキが乗り越えた試練」500ページの夢の束 琥珀さんの映画レビュー(感想・評価)
『魔女の宅急便』で飛べなくなったキキが乗り越えた試練
天才子役としての輝きがあまりにも鮮烈だったので、成長し子どもでなくなっていく時、我々には想像も出来ないような葛藤があったと思います。人間は誰しも思春期を迎え大人になるに連れて、自意識が強くなり、天分・天然だけで演じることは不可能となるからです。プロというか大人の役者になると自然体と呼ばれるような演技も自然体に見えるように技巧を凝らして演技しているわけで、そうなっていくことが役者としての成長なのだと思います。
天才子役だったダコタ・ファニングが成長していく過程にも子役時代のように自然に演じることができないという時期がきっとあったはずです。それまで無意識に飛んでいたキキが、メガネくんと出会ってから飛べなくなったように。
ましてや若手女優として華々しく活躍する妹の存在もあり、「天才子役」だった自分との比較やただの「若手女優」となった自分の在り方について、答えの出ない悩みもあったのではないでしょうか。
そういった意味でこの作品は、今の彼女がそのような状況を乗り越えた証としての大事な転換点かもしれず、ダコタ・ファニングに魅せられたことのある映画ファンならば見逃すわけにはいかないなと感じました。
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