「わたしにもチャンスがほしい。 他の人と同じように。」500ページの夢の束 くりさんの映画レビュー(感想・評価)
わたしにもチャンスがほしい。 他の人と同じように。
渡ってはいけないと
教わっていた道をこえて
一歩踏み出す。
そこから、全てがはじまります。
いくつものエピソードで
未知の恐怖を乗り越えて
やり遂げようとする彼女の勇気が
微笑ましく、応援したくなります。
ウェンディが自分の感情を
コントロールするために唱える
Please stand by {そのまま待機。}
原題にもなっています。
状況がよくわからない時に
乗組員に指示する言葉だそうですが
待機しても変わらない状況を
打破するヒントが本作にあります。
誰もが持っている
自分を取り戻すルーティングは
あぁ 私はこうするっていうのが
あるはず。
私は、
物事が上手くいきすぎるときに
調子にのらないように唱える言葉と、
つまらないことで
相手に腹をたてたときに、
心で唱和する言葉があります。
だけど、
そういう唱和も口にだして
しまうような
免疫のない彼女の行動に
ドキドキします。
世慣れていれば
かわせるようなトラブルも
まともにくらってしまう。
脚本を届ける数百kmの旅は
いい人も悪いヤツもいるんだけど
まるで人生の縮図のようなもの。
本作が共感を呼ぶのは、
そんな上手く行かない現実や
一歩踏み出す勇気を
彼女に自己投影してしまうからだと
思います。
だから、
周囲のおまえには出来ないと
いう のろいの空気を、
行動で離散させたウェンディへの
称賛と、
それに触発され、
意識を変える決意をした姉が
ウェンディを自宅に呼んでの
エンディングに
背中を押される思いをもらえました。
自分が変われば、
周りは変わるんだよ。
自分にない能力や結果を認めて
他人に敬意を示すことから
信頼が生まれるという
お手本に。
やりきる元気がほしい方に。
おすすめ。