「君臨」GODZILLA 星を喰う者 U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
君臨
ゴジラとしては、かなり分かりやすく解説されてたように思う。
傲り高ぶる人間への鉄槌。
確かそんな事が第1作目のメッセージだったように思う。
それから時に神となり守護者となり、味方になりHEROになり、破壊神と称され破滅を司る獣であったり、地球の代弁者であったり、自然とか地球とか。
そんなシリーズを通して語られる様々な側面を全部体現したかのようなゴジラ像だった。
観終わって思うのは「上手くまとめたなぁ」だ。
祝福としての滅亡だとか、死すら通過点としその先にこそ幸せがあるはずとか…まぁ、小難しい話を聞かせてくれる。
文明に関しても過ぎたる叡智は争いに向かうだとか、それを繰り返すのか人類としての性だとか、人の感情こそが人に与えられた呪いなのだとか、うんたらかんたらと…。
まぁ、全てはギドラへの布石なんだけども。
で、どんな攻防を見せてくれるのかと思いきや…まぁ動かない。
この辺りにフラストレーションが溜まる。なんていうか…もうちょいアグレッシブでも、ゴジラの威圧感もギドラの異物感も損なわれなかったんじゃないの、とは思う。
総じて、意味ありげな終末歓迎論を聞かされただけだった。またこれが良く出来てて…言いたい事は分かるけど、と思ってしまう。
結局のところ、物質世界の最先端のメカゴジラも、精神世界の神であるギドラをも凌駕する完全無敵な絶対王者ゴジラであった。
ラストの特攻である自滅なのか自戒なのかはさておき、それすらも躊躇なく滅するゴジラは嫌いではない。
死は全てにおいて平等であり、安寧を約束してくれる。
それは何故か。
その先を誰も知らないからだ!
つまりは、それは真実ではなくイメージなのである。無、つまりは「0」に何を掛け算しても「0」のままって事で変化はない。
変化がない=安定=安寧なんて事から連想されると思うのだけど、ぶっちゃけ大きなお世話だ。
…なんて事をぶちまけるとメトフィーゼだったかの背の高い兄ちゃんから「あなたは神と会話すら出来ない低次元のテクノロジーからしか発想できない未熟者だからだよ」とかなんとかのお叱りを受ける事になると思う。
でもたぶん、ハナクソほじりながら聞いてると思う。
ただ、メッセージ性はすこぶる強く…それはきっとゴジラであるから出来る事なのだと思う。アニメとしての表現力は凄く好き。
メカゴジラの解釈もトンチが効いてたし、ギドラの解釈も結構好きだ。モスラの存在もいい感じだった。