「なに、このぶっ飛び感、スケール感、そしてずっと残る余韻」宇宙の法 黎明編 女宇宙怪人OXさんの映画レビュー(感想・評価)
なに、このぶっ飛び感、スケール感、そしてずっと残る余韻
なんなの、このスケール感、ぶっ飛び感!? 宇宙ということで壮大な宇宙空間のバトルとか出てくるかなと思ったら、やっぱり出てきたんだけど、それ以上のものがこみあげてくるじゃない。そして、なんなの、全編にちりばめられた音楽!ノリノリじゃないの。…ザムザさま(あえて「さま」付けさせていただきますわ)と主人公?のレイとの最初の遭遇のときのあのメロディ……昭和テイストじゃないですか!哀愁漂う昭和エレジー感というか、マカロニウエスタンというか、ニヒルな用心棒が出てくるようなあの音楽がとにかく胸に響いてしまって、21世紀の2018年の10月12日、築地市場から豊洲市場に移転しての直後の、この最新作なのに、心はあかね色の昭和時代に戻ってしまうじゃない。女宇宙怪人OXの心をかきむしるじゃないの。さらにザムザさまの悶々とするシーンに流れるロックったら。もう超COOL。もちろんそれ以外の楽曲もそうだけど、この映画、音楽がひたすら感動させるの。ラストのエンディングの荘厳な音楽を聞いてしまったひには、嫋嫋たる余韻たっぷりで席から立てなくなってしまうじゃないの。そして、この映画、主役はザムザさま、あなたよ。て思えてしまうぐらいに魅力的。千眼美子(清水富美加)が声をあてているというんだけど、とてもとてもご本人とは思えない、ドスのきいたS気まじりの鞭の効いたパンチのある声なんだけど、だんだんとしおらしくなっていって、ラストは泣けちゃいます。アルファという地球の神が大々的に作品を包み込むようなテイストで、これはド直球の宗教映画なんだなとあらためて思った。そして宗教映画というのはこういう路線もできるのだなと。そういえば人類の歴史は宗教によって、宣伝や物語が豊富につくられてきたんだよなって。戦前のアメリカ映画なんか宗教や信仰なしには考えらんないツクリになっていたし。あと、ダハール?これ、まじヤバい。心の奥底から持って行かれそうな、魂に訴えてくる、このなんともいえないキャラクター。こういう悪役、仇役が上手に描かれれば描かれるほど、ヒーローやヒロインが光ってくるという定石を踏んだ、正攻法をふまえた堂々たる作品ですよ、これは。