「緊迫感が伝わらない」七つの会議 ガバチョさんの映画レビュー(感想・評価)
緊迫感が伝わらない
池井戸潤作品にしては、あまりにひねりのない、当たり前すぎる内容に感じた。野村萬斎と香川照之の怪演はインパクトあるが、中身が入ってこない。企業不正をめぐるテーマは「空飛ぶタイヤ」に共通するが、展開の充実度や画面の緊迫感、テーマの昇華のさせ方など、はるかに「空飛ぶタイヤ」の方が上だ。今作の見所は、いわゆる「ダメ社員」であったり、成果を出せなかったり、会社から指示されたことしかしてなかった少し外れた社員が、会社という大きな敵に立ち向かっていく潔さみたいなものだろう。会社の中枢にいる人間は、「結果こそすべて」の会社の論理こそ正義だと信じているから、自分で自分を断罪できない。会社の歪んだ正義は圧倒的だが、立ち向かう側の正義がとても弱いと感じてしまう。結果的に悪は裁かれたが、後味はすっきりしない。誇張した演技に頼り、観客を楽しませるエンターテインメント性に欠けた作品になってしまった。
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