「文句なしにおもしろい!のだが!?」七つの会議 ch229さんの映画レビュー(感想・評価)
文句なしにおもしろい!のだが!?
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テンポよく話が進んでいくので、クライマックスまで興味が途切れることなく映画に没頭してしまう、退屈さとは無縁な映画。
しかし、ついに、というクライマックスでは焦点が二転三転していくさまにちょっとクドさがあったのと、さらにそこから終劇までの流れは必然性の薄い描写も多く演出もやや空振り気味で、謎が明らかになった爽快感の余韻を打ち壊してしまうように感じた。
せっかく筋書きとしてはよく出来ているのに、肝心の心を震わせる演出がもう一歩追い込めていないように感じるのがもったいない。
隠蔽を告発した首謀者がそのまま会社に残る、というのは恐ろしく居心地の悪いもののはずで、実際に我々が会社で不正を暴きたい、という気持ちがあってもなかなかできる人がいないのは、そうすることによって自分がおかれる立場が容易に想像できるからなのだ。
その点、八角は最初から白い目で見られ後ろ指さされるポジションだったし、なにを今さらなんだけど、だからこそ八角は躊躇なく告発できてしまったんだな、ということを再確認するための「おさらい」のカットがひとつほしかった。
期待以上の面白さだったからこそ、もっともっと欲張れた、もう少しで時代を代表する名作になれたかもしれないのに、という惜しさを感じてしまい、ついついダメ出ししてしまう映画なのである。
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