「苦労している方、想像力たくましい方へ」タリーと私の秘密の時間 ogosokaさんの映画レビュー(感想・評価)
苦労している方、想像力たくましい方へ
ただ子育て中なので「今興味あるジャンル」ということで見たかっただけで、期待値が低かった分、良い意味で裏切られました。
子育てで大変な思いをした方はもちろん、子供がいなくても「何かのために何かを諦めた経験があり、今大変な思いをしている」人は共感できるのではないでしょうか。
例えばプライベートを省みず会社を立ち上げるなどして苦労した方にも面白いかと思います。
とにかく心理描写が素晴らしいです。
自分で選んだ道、命は素晴らしいこと、ありがたいこと、もちろんそれは分かっているが、辛い。したいことをしてくれて、「あなたは良い母親」といってくれたタリーが、幻想であった事実。そんな都合の良いことを言ってくれる他人はいない。ただ自分がそれを求めていたことだけが事実。
自分を酷使する中で、隠れていた自分へのほんのすこしの優しさが垣間見えていたことが最後にわかり、切なくて涙が出ました。
映画では最後はハッピーエンド?ですが、実際は死んでいてもおかしくないので、一人で全て抱えて頑張りすぎてたち行かなくなる前に、ヘルプを出すことが現実では大切でしょうね。
マーロの夫は気は利かないけど、決して悪人ではないので、このようなエンドになったのでしょう。
これがモラハラ夫だったりすると、またテーマが別になるでしょうね、、
映画としても素晴らしく、何度か見ると主人公が見ているテレビやバーのインテリア?やルームメイトなどたくさんのヒントがあり、一貫してイメージを伝えていることがわかります。
これがドラマだったら間が空いてしまい、憶測されてしまうので面白さが半減どころか成り立たないかと思います。
また女優陣も実力派ばかりで、見ている者をこの世界に違和感なく集中させてくれます。
ただ一緒に見ていた夫は、育児家事仕事ともに言うことない素晴らしい人ですが、見終わった後「?」状態でした。
共感力や想像力がたくましい人向けなのかもしれません。