「カランコエの花言葉は〈あなたを守る〉」カランコエの花 唐揚げさんの映画レビュー(感想・評価)
カランコエの花言葉は〈あなたを守る〉
LGBTを題材とした39分のショートフィルム。
無料配信していたので鑑賞。
保健教師がLGBTについて授業を行ったことで、クラス内にLGBTの人がいるのではないかという波紋が広がっていく。
傑作でした。
短編ともあってかなり観やすい上、短編とは思えないほどのメッセージ性。
これはすごかった。
皆さんのレビューにもありますが、保健教師のデリカシーの無さが気になりましたね。
“LGBTを差別するのはダメです”
口ではいくらでも言える。
これではただの主観的意見。
もっと間接的にアクション出来なかったのか?
この問題は本当にデリケートで難しい問題。
今のご時世、差別的発言はすぐ叩かれる。
かといってLGBT差別だと言って特別視するのもどうかと思いますし、だから放置・無視していい訳でもない。
自分も差別はしないものの(していないと信じている)、自分の中での恋愛と切り離して考えがちなところはどうしてもあります。
人種や障害、病気など何にしても、心のどこかで自分とは違うと冷ややかな立場を取っちゃうことって、気づかないだけで誰しもあるんじゃないでしょうか。
気づかないうちに誰かを傷つけているかもしれない、身の回りの人も知らないところで悩み苦しんでいるかもしれない。
劇中の桜も女子の中でイケメンの話とか上がるたびに辛かったんだろうなと。
そもそも、自分もLGBTではないとは言い切れない。
途中で目覚める、気付くこともあると聞くし。
桜が「何で庇うの?」と言っていましたが、彼女としては普通に扱って欲しかったのかな。
まるで腫れ物に触るみたいに、レズビアンが悪であるかのように。
月乃が「違うよ、桜がレズビアンなわけないじゃん」っていっていたのも、彼女なりの優しさだろうけど、自分が桜の立場だったらちょっと傷つく。
LGBTという言葉がある以上、社会的にマジョリティである恋愛とマイノリティである恋愛を分けなくてはいけないのか。
男子の犯人捜しやどうしていいかわからない友達、クラス内に広がっていく空気感がやけにリアルで、観ていて辛かった。
この問題について正しい答えは出ないけれど、この映画が一つの解決策、考え方の選択肢になれば良いですね。
私は最後のはにかんで嬉しそうに好きな子の話をするさくらさんの表情がとても好きでした。
あれを見て、ああ、おんなじなんだと実感することができました。
いい映画でした。