「40分で気付かされたこと」カランコエの花 mnb93さんの映画レビュー(感想・評価)
40分で気付かされたこと
この映画では、マジョリティ視点で描かれている。
序盤ではクラスの誰かがLGBTである事だけ噂が流れ、発覚した時には、間違った配慮で本人を傷つけてしまう…
さくら自身が、純粋に月乃を想い、幸せそうに保健医に恋バナをするシーンは、女同士だと言う事で罪悪感をもって恋愛をしているわけではない。
LGBTの違いで悩んでいるとかそういう事ではなく、さくら自身もふつうに、好きの気持ちを抱いているだけ。
そこに何の意義を唱えるものかと、苦しくなりました。
月乃は、次の日学校に来なくなったさくらを思い、後悔と苦しさで涙を流します。
大事な友達なのに、「守る」つもりで発した言葉が、彼女ごと否定をして「守れなかった」。
この絶望感と、暗転からのエンドロールの保健室の会話の対比が、非常に考えさせられる演出でした。
これを観る時、友人にゲイやトランスジェンダーが多く、自分には理解があるものと考えていました。
LGBTに偏見を持っていないつもりでも、マイノリティの人々は辛い思いをたくさんしているだろう、といった部分にフォーカスしすぎて、下手にフォローをし過ぎたり、やたら持ち上げたり、結局ネガティブな受け取りとなる事はありがちなのかと。
保健の先生の授業も、自己満足になってしまっていたり…
いい意味で、LGBTに敢えて着目しなくなる社会になっていけたらいいのかなと思います。
クラスメイトの男の子がさくらを好きで、最後に茶化す男友達と喧嘩をするシーンが好きです。
ここで何が問題だったのかを、彼が学び、さくらを「守る」(守りたい)というところが見えたのがとても良かったです…何度も観ました。
最後の保健室で好きな人のことを恥ずかしそうにうれしそうに話をしている姿を見て、人を好きになるのに性別って関係ないんだなあ、ということが初めて実感できた映画でした。
私にとっては、とても自分の見方や考え方を変えてくれた作品でした。