「このヒロインのことが徐々に好きになる不思議。」若い女 ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
このヒロインのことが徐々に好きになる不思議。
冒頭からこのぶっ飛んだヒロインの個性が思いっきり炸裂する。まるで爆弾のようで手がつけられない。寄ればこちらも怪我をしそうなほど。それが性格の問題なのか、デスパレートな状況の問題なのかはわからない。彼女に「もうちょっと器用に生きてみたら?」と助言してみたところで、何ら効果は得られないだろう。
けれど、彼女の良さを一つだけ挙げるとすれば、決して止まらないこと。絶えず動き続けること。それがたとえ恐ろしく下手な泳ぎ方で、見方によっては溺れているように見えたとしても、結果的に彼女の人生がちょっとずつ前に進んでいるらしいことは、差し込んでくる光や彼女の表情から自ずと伝わってくる。そして、なぜだろう。本当に不思議なのだが、この一連の描写を受けて自分もヒロインのことが大好きになり、彼女の人生を、一挙手一投足を、心から応援していることに気づかされるのだ。そんな狐につままれたような魅力に満ちた一作である。
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