乱世備忘 僕らの雨傘運動のレビュー・感想・評価
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仮に私が香港の人間だったら
日本では「水に流す」ことが良しとされる文化がありますが、本作の様な民主化デモは権力に対して「水に流す」なんて甘いことを言ってられないですよね。悲劇を繰り返さない様にユダヤ人は何度も何度もホロコーストを蒸し返しますし、韓国にも「恨」と言われる文化があります。私は日本人なので「水に流す」という価値観は良く理解ができますし、昔はいつまでもいつまでもしつこく考えたり言ったりするのは苦手でした。
しかし、「水に流す」方がよっぽど楽なんですよね。思考停止ができるし、闘わなくてもいいから。だから、仮に私が香港の人間だったら、こんなにずっとしつこくデモができるかなと思いました。ましてや、国家安全維持法のある中国が相手です。相当な強い意志と故郷を愛する気持ちが無いとできないはず。私は多分できません。当面は難しいかもしれませんが、本作の記録は今後民主化が芽生えるあらゆる国に活きると思います。
知ることの価値
香港返還、その後民主主義的ではない選挙制度の導入に反対して、学生と若い社会人が中心となって繰り広げられた抗議デモのドキュメンタリー。
2014年という時期、香港という土地ということもあって、天安門のようなことはないが、活動が押し潰されていくことに変わりはない。
若者たちが歌うフランス7月革命で歌われた(レミゼラブルで有名な)「民衆の歌」。血が流れる流れないの違いはあるが、結果まで一緒だ。
監督がデモ側に入って撮った映像ということもあって、当事者感はある。
ドキュメンタリーなので、出来事が起きるわけでもない。その分、高揚し、そして停滞・沈滞していく様子がしっかり伝わってきて、それは観ていてときめいたり、手に汗握ったりする要素はほとんどない。淡々と記録を見ていくだけだ。
しかし、自分はそれも映画の一つの価値だと思う。本で読んで知る、口伝えに聞いて知ると並んで映画で観て知る、があるのだと思う。
そして自分にとってはこの方法が知る方法としてあっている。
そういうわけで俺はこれからもドキュメンタリーを観ていくだろうし、面白かろうとつまらなかろうと、3点以上をつけていく。
俺に、世界や歴史や人物を教えてくれたことへの感謝として。
ちなみに、ポレポレ中野 初見参でした。
この映画を上映できる日本の素晴らしさ
2014年に発生した普通選挙の実施を求める若者の抗議活動に関するドキュメンタリー映画。見てみると政治的なところよりも若者の成長物語として撮影されているようにも感じる。
ポレポレ東中野では、陳梓桓監督の舞台挨拶があったが、香港でも「学生が運動の主体だから」「政治的テーマだから」といった理由から商業上映が難しい状況だという。
この映画を上映できる日本の素晴らしさも改めて感じた。
香港の若者の青春劇「学生運動=正義」⁉︎
このドキュメンタリーを通して、香港の若者のリアルな思いを知ることができました。
「学生運動=正義」
という世界的な流れがありますが、果たして本当にそうなのか、この作品を鑑賞する前に、背景を調べた上で、中立な目線で鑑賞して欲しいと思います。
全てのも国民が満足できる社会を作るのは難しいけれど、自分の求める"モノ"を声に出して求めているのか?求める前から諦めていないか?社会との向き合い方を考えさせられる作品です。
『雨傘運動』について、中国に対抗する学生運動として知っていたが、具体的なことや背景を知りませんでした。大きな出来事で、本当のことを知る必要があるという思いで、チャン・ジーウン監督へのインタビューをさせていただくことになりました。
【インタビュー記事】
https://angielee.hatenablog.com/entry/2018/07/12/025320
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