「個人マリアと歌手カラスが巧みな語り口で描かれている」私は、マリア・カラス りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
個人マリアと歌手カラスが巧みな語り口で描かれている
オペラについても浅学で、20世紀の歌姫マリア・カラスについても知っていることは少なく、プライヴェートでは、20世紀の海運王オナシスとの間に恋愛関係があったことを知っているぐらいでした。
1970年米国テレビ番組でのインタビューを狂言廻しのようにして、カラスの過去を多くのプライヴェート映像で紡いでいきます。
冒頭のインタビューでも語るとおり、映画は個人マリアと歌手カラスを巧みに魅せていきます。
1950年代、ソプラノ歌手の筆頭に躍り出たカラスは、1958年1月2日のローマ歌劇場・ベッリーニ『ノルマ』の舞台を発声不調のため第一幕で降板してしまう。
その舞台には大統領も出席しており、非難はすさまじく、大バッシングに遭ってしまう・・・
というところから、反乱の人生が描かれ、海運王オナシスとの長期に渡る恋愛もすこぶる興味深い。
そして、人生のドラマを掘り下げるとともに、彼女の歌声を十二分に堪能することもできました。
とにかく、カラスの歌声の素晴らしいこと。
試写会だったので、通常の映画館よりも音響は劣っていると思うのですが、それでも彼女の素晴らしさは伝わってきました。
これまでにも彼女を題材にした映画はいくつか製作されており、フランコ・ゼフィレッリ監督の『永遠のマリア・カラス』(2002年)とジョルジオ・カピターニ監督の『マリア・カラス 最後の恋』(2005年)、フィリップ・コーリー監督のドキュメンタリー『マリア・カラスの真実』(2007年)あたりは比較的レンタルしやすいようなので、機会があれば鑑賞してみたいと思います。
なお、オナシスとジャクリーン・ケネディの恋愛をモチーフにした『愛はエーゲ海に燃ゆ』(J・リー・トンプソン監督、1978年)も観たいのは観たいのですが、こちらはVHSしかないので残念です。