「映画単体としては★4、原作ありきなら★1」騙し絵の牙 さなさんの映画レビュー(感想・評価)
映画単体としては★4、原作ありきなら★1
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映画と原作は全く別作品です。タイトルを変えた方がいいのでは?と思うくらい違います。
私は映画の後に原作を読んだので映画それ自体は楽しめたのですが、映画は完全にエンタメ作品で、原作は社会派の作品なので、どちらも見た後ではどう評価したらいいのか分かりません。ここまで違う作品にしたのか……といった感想です。個人的には小説の方が重たくて好きです。
出版だけでなく色んな業界の踏み込んだ話をするのは映画では難しかったんでしょうか。速水さんのバリカンとか中央委員会での演説とか見てみたかったですねえ。大泉さんにやってほしかった。エピローグで明かされる継父の話や若い才能を失ってしまった話も、「編集者」としての速水輝也を描く上では欠かせない話なので、この映画ではやらなかったんですね。
小説では編集者としての速水輝也には揺るぎないものを感じましたが、映画では利己的な印象が強かったです。小説への愛はどこへ。高野さんに花を持たせるためにそうしたのかもしれませんが、原作や大泉さんのファンからすればショックかもしれないですね。私ももし好きな作品がここまで別物になっていたらショックだろうな、とは思います。ずっと応援していた、むしろ一緒に戦ってきたはずの主人公が別人になっている、くらいの感覚ですかね。
私は初見なため映画は楽しめましたが、原作が好きな方なら全く別作品であることを承知の上で観ないといけないと思います。
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