「面白い事をしたやつが勝つ。」騙し絵の牙 Movieアパートさんの映画レビュー(感想・評価)
面白い事をしたやつが勝つ。
この一言に集約される映画だったと思う。
だからこそ大泉洋が躍動するのだと考えると、大泉洋という人間の魅力そのものによって成立する物語だった。
権力争いに揺れる出版会社を舞台に 一番面白い事を仕掛けたやつが勝つ というルール設定の中で話が進むわけだが、今日本で 面白い ということにおいて大泉洋以上の華を持っている役者はいないだろう。
本作は大泉洋に主役をあて書きするというアイデアでスタートした小説が原作ということだけど、そのことが単なる人気俳優キャスティングとしての意味だけでなく、物語の根幹のルールの部分にまで背骨を通す意味合いが込められた内容に映画が仕上げられているところがよくできてると思う(原作小説からはかなり改変されてるようなので、映画ならではの印象なのかもしれないが)
音楽面の貢献も大きくて、大泉さん演じる速水が 面白い 事を始めると、シンプルながらもカタルシスを生じさせる的確な音楽が話のテンポをサポートするように流れてくるのがまた良い。
その他豪華役者陣たちも手だれ揃いで流石の存在感だが、特に國村隼! 何だこいつ笑 という独特すぎる動きが本当に良かった。
あとは、 一番面白いやつは誰だパワーゲーム の最後の勝者となるあの人。若いけどやっぱり良い役者さんです。 作中最強のツッコミワード お前誰なんだよ! では劇場が爆笑に包まれてた笑
あとはもう少し物語推進力の上で縦軸になる事柄を盛り込めたらよりわかりやすく魅力的なプロットにはなったかなぁと思う。
ただ肝になる どんでん返し もちゃんと話のルールに沿った上での着地なので、無理矢理取ってつけた感が無いのも非常に好感を持つ。
予告を見るだけだと少し不安になるような部分もあったけど 吉田大八ならまぁ心配ないだろうという期待感にきっちり答えてくれた一本だった。