劇場公開日 2021年3月26日

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「罪つくりな予告」騙し絵の牙 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5罪つくりな予告

2021年3月28日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

予告からコンゲームのような展開を期待し、公開延期も手伝ってさらに期待はふくらみ、公開初日を迎えました。レビュー評価があまりのびてないので、少々心配しての鑑賞でしたが、最後の最後まで楽しく観ることができました。

原作は未読ですが、「あてがき」だけあって、大泉洋さんの速水役はよくハマっていました。正直、大泉洋さんにキレ者のイメージはないのですが、見かけとは違って、信念に基づいて行動するような雰囲気は感じます。やはりこの役は大泉洋さんで正解でしょう。

難しくてもおもしろいことを求めて仕事するという速水の姿勢、あの手この手を仕掛ける豊富なアイデア、思い立ったら即実行する行動力は、本当にうらやましく思いました。実際にはさまざまなしがらみから実現は困難なだけに、憧れるものがあります。ただ、ことがうまく運びすぎで、いささかできすぎな面は否めませんでした。映画とはいえ、もう少し速水の裏の根回しや地道な情報収集的な活動が描かれないと、彼が努力不要のスーパー編集長としか見えないのが、ちょっと残念でした。

そんな、あてがきまでされた主演の大泉洋さん以上に光っていたのが、若手編集者役の松岡茉優さんです。彼女のもつ、こだわりと一途なイメージが役柄にピッタリです。こちらもあてがきなのか、むしろ主役は彼女ではないのかと思わされるほどです。小さな本屋、女子高生の一言、難しいけどおもしろい、薫風上司との因縁、父の存在、行列の思い出、神座など、さまざまな伏線を一気に回収しながら、彼女に収束していくラストは秀逸でした。

というわけで、かなりおもしろかったのですが、鑑賞後の率直な印象としては「あれ?これだけ?」という感じでした。というのも、予告でハードル上げまくった騙し合いバトルや、ラストの大どんでん返し等が、こちらの期待にまったく届いていないからです。罪つくりな予告のせいで、作品の評価が下がってしまったような気がします。

おじゃる