「言うのは簡単だけど・・・」ALONE アローン にゃろめさんの映画レビュー(感想・評価)
言うのは簡単だけど・・・
前半で任務を失敗する。
ここが結構重要なポイント。
一見すると、
たとえ任務といえど、結婚式の父親(任務の標的)を
撃つなんてできない。という優しい主人公に思える。
しかし、地雷を踏んだあたりから雲行きは怪しくなる。
ここで鑑賞者は二手に分かれる。
1つは、特に感情移入することなく、
そこから展開される妄想の数々を
「マイクの妄想」として捉え
なんじゃそれという感想になっちゃう人。
もう1方は、もうほとんど画面で起こっていることなど
頭に入って来なくて、リアルに自分の妄想に入っちゃう人。
後者の場合、前述の(任務失敗)が尾を引いてくる。
優しいから撃たなかったのか?
車の色が違うって、本当か?
花嫁の父って言い訳じゃないのか?
婿の陰で撃てないって、チャンスは何度もあったろう?
思えば、自分の人生、そうやって都合のいい
言い訳で塗り固めて勇気ある一歩を
踏み出してこなかったのではないか?
自問自答を繰り返せば繰り返すほど、
映画の途中で、
”靴を地雷に結べばいいのに”とか、
”仲間の遺体や荷物と入れ替えられないの?”とか、
過去の自分と向き合いもせず、
また攻略することばかり考えていると気づく。
勇気ある一歩を踏み出せないだけではないのかと。
偶然ではない。
砂嵐に倒されて、
睡魔に襲われて、
コヨーテに襲われて、
偶然足が離れたら運よくブリキ缶だったのではない。
自問自答を繰り返し、
仲間の死を乗り越え、
自身も死ぬ思いをしたうえで、
ようやく踏み出せた一歩。
そんな人生で最も重要な一歩は、
ただのブリキ缶を踏んでいたようなもの。
神様が微笑んでくれたような一瞬でした。
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