「少しだけ勇気を出して話をしよう」Love, サイモン 17歳の告白 arakazuさんの映画レビュー(感想・評価)
少しだけ勇気を出して話をしよう
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この映画はよくあるカミングアウトものではない。
ここで問題になっているのは、
自分の意志とは別に、第三者によって同性愛者だということを暴露されてしまうアウティングだ。
もちろん、サイモンだって出来るならカミングアウトしたかっただろう。
でも、いつ、どんな形で、誰にカミングアウトするかはサイモンが決めることであって。
誰かに無理に強いられたり、暴露されることではない。
ただ、サイモンが親友たちに距離を置かれてしまった原因は、彼がゲイだったことではなく、
アビーをデートに誘いたかったニックにアビーには年上の恋人がいると嘘をついたことや、
幼稚園からの仲のリアとニックよりも付き合いの浅いアビーに先にカミングアウトしたことや、
サイモンを思い続けていたリアの気持ちにまったく鈍感だったことだ。
アイデンティティを確立するためには、
自分が何者であるのかを知ることも重要だが、
ありのままの自分を受け入れてくれる誰かが存在することも同じくらい大事なことだ。
いつも一緒にいる家族や親友だからといって
思っていることをすべて話しているわけじゃない。
でも、少しだけ勇気を出して素直になって
話をしてみれば難しく考えていたことも思いの外簡単に解決するかもしれない。
思い起こせば、十代の頃に見えている世界には大人はほとんど存在感しなかった。
彼らの世界を占めている、そのほとんどは友人関係だろう。
その世界の居心地が悪ければ、ほとんど地獄。
そんな感覚を思い出した。
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