劇場公開日 2018年10月6日

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「玉置玲央が出てきた」教誨師 茉恭(まゆき)さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0玉置玲央が出てきた

2020年2月22日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

玉置玲央の存在感たるや!!!
もう、その一言に尽きる。
大杉漣との会話劇の中に、
彼の遺伝子が受け継がれていくような、
まるで通過儀礼にも思えた。

これまで、数々の死刑囚を演じた役者さんを観てきたけれど、
緒形拳さん以来の引き込まれ方をした。
言ってることのいちいちに、「確かに」と思ってしまう。
勿論、それは決して正解ではない。
屈折した人生を生きてきた人間ならではの見解、そして虚しさ
と孤独。
まるで本人ではないかと錯覚するような持論にも聞こえた台詞。
こんな役者は、もっと表に出なきゃダメだ!!!

そして一度は逃げようとしたものの、
対峙する覚悟を決めて戻った牧師の強さたるや。

融解していく氷のごとく、
自分をさらけ出し、真っ正面から何も飾らずにぶつかっていく牧師に、
高宮(玉置)の表情が変わっていく。

知らないから怖い。
ただじっと、傍で穴を見つめる。

素晴らしい台詞。
泣いてしまうやんか。

選ばれてしまったあの日、
死の直前になっての表情が、とてつもなく美しい。
教誨師である佐伯(大杉漣)に抱きつき、
何かを伝えたようにも思えたけれど、
次の台詞でそれはかき消される。

他にも癖だらけの役者を使い、
多種多様な死と隣り合わせの罪人たちが表現された。

大杉漣さんが表現したかったこと、
これが最期になってしまった意味を、
また見返して考えてみようと思う。

こんなに予算もかけず、
音楽もなく、
膨大な台詞量を、自分の言葉として表現する、
役者本来のチカラ。
存分に魅せて頂きました。

茉恭(まゆき)