「悪女的な魅惑の麻由子と純粋一途な崇史」パラレルワールド・ラブストーリー 廉さんの映画レビュー(感想・評価)
悪女的な魅惑の麻由子と純粋一途な崇史
始めに東野圭吾さんの作品は殆ど観ていましたので、今回も期待大でした、原作の小説も既読しており、大体の内容を把握して臨みました。
確かに映画化は難しいと言われるだけあって、時系列の描写で混乱する視聴者が出てくることは分かります。しかし、既に原作を読んだ者にとっては、始めから登場人物の気持ちを分かった上での観賞なのでスムーズに入れた気がします。
少し気になったのは、三角関係の描写ですかね。
一目惚れした電車のすれ違いは、淡い初恋のようなトキメキを感じさせますが、その後、麻由子は偶然なのか作為的なのか分かりませんが、実際に崇史と再会してしまうことから(TVCM)悲劇のストーリーが始まります。
ある意味、影の立役者は、麻由子の方ですね。男にとっても色々な意味で怖い女性でした。
この一連のストーリーで思い浮かんだのが、設定などは全く別物ですが、「NEXT」や「トータルリコール」というハリウッド映画です。
記憶の改編と恋人が実はスパイだったというものは以前からも沢山ありますが、東野圭吾さんの初期の作品としては、まるでこのハリウッド映画のような描写イメージで読ませて頂いていました。
また、話題の崇史と麻由子の気持ちが一気に盛り上がるラブシーンは、原作とは違って多少残念です。
『淡々と』崇史が一方的に麻由子をレイプ紛いのように扱うという話でしたから。
映画で、麻由子は始め拒否していたのにすぐさま「待ってました」とばかりに自ら進んで激しいメイクラブをされている(笑)ここで多少別の映画館で観るものかなと焦りました。
この辺りは申し訳ないですが、興ざめポイントですかね。
彼女の恥じらいも初々しさや純潔性も一気に崩れた瞬間です。
小説では無味乾燥なベッドシーンでしたので。
ベッドシーンを激しめに見せて視聴者にアピールする狙いはなんだったのか?
麻由子の隠された情熱的な性格を疑わせます。ここが原作の楚々とした才女で男性経験のないイメージが覆りました。
ただ、演者の吉岡さんや玉森さん、演技派俳優として若手トップクラスの染谷さんの演技が全身全霊で、観ているこちらの心を打ちました。
森監督が見初めただけある主演役者さん達だったと思います。
今度この映画をハリウッドでリメイクされたらもっとスリリングで凄くなるのではないかなと期待してコメントを終えたいと思います。