「ジワジワくる」パラレルワールド・ラブストーリー jumangoさんの映画レビュー(感想・評価)
ジワジワくる
確かに2回観たくなる。
正直、1回目を観終わった後は2回目はいいかなと思った。原作も読んでいたので、なんとなくの話の内容も解っていたしそれほど複雑にも思えなかった。
けれど、後からジワジワと感じるものがあり、敦賀崇史、三輪智彦、津野麻由子それぞれの視点から見直して観たくなる。
敦賀崇史は智彦の事を本当に親友と思っていたのか?麻由子に言ったように同情があったのか、自分の方が優れていると思わせてくれる存在だったのか。
崇史の本心に気付いてしまった智彦は、親友も恋人も失う恐怖から逃げようと記憶を改編した。それは崇史に罪悪感を持たせる手段の一つだったのか。それとも、もう一度自分の事を大切な存在だと思ってもらいたかったからなのか。
麻由子は崇史の事が好きだった。けれど、誰にも言えなかった。崇史はそれに気付いて行動に出た。記憶を改編しても麻友子への想いは変わっていなかった。記憶を改編してやり直したい。最初から崇史と。それが麻友子の本心なのか。
人の感情は複雑だ。それを簡単に見せることは出来ない。だから悩み混乱する。そして、答えが出ないから何度も考える。原作を読み返したくなったり、映画をもう一度観てみたくなる。最初とは違った感情で。
崇史の大号泣シーンで、自分でもよく分からないが込み上げてくるものがあった。
自分は優れていると思っていたであろう崇史の愚かさ脆さ弱さずるさが露呈して、築き上げた自分が壊れていくような気持ちだったのか。そこでまた記憶を改編してしまう弱さ。
人間の汚さやずるさ。それは誰もが持っているものなのだろう。そして、認めたくないものなのだろう。
観たあとに考えてしまうからまた観たくなる。明確な答えは決して出ないだろうけど。