ナポリの隣人のレビュー・感想・評価
全14件を表示
映画に求めるものを備えた作品
この何年かで一番の出来のヨーロッパ映画だ。
観客の目に映っているものが必ずしも物語の中心ではない演出によって、最初からスクリーンの中へと引き込む力強さ。
人物の心理を簡単にセリフで表現しない深遠な描写。
様々な出来事が重なって映画に触れる機会がめっきり減ってしまっていたこの数年、出会う作品の質もまた、それほど高いとは思えないものがばかりだった。この作品は私が映画に求める語り口に満ち溢れ、久しぶりに映画鑑賞の喜びに浸ることができた。
また、離婚をしてからというもの、子供たちとの会話が極端に少なくなってしまった私自身と、主人公親子の姿が重なった。
いつまでも子供たちへの心配は絶えず、これに耐える辛さに負けそうになることは多い。このことから逃げたい気持ちを抑えても、代わりに苛立ちを隠せなくなる。
世の年寄たちが孫の顔が見たいなどと勝手な希望を口にするその寂しさがだんだんと分かるような歳に自分が差し掛かっていることを思い知らされる。
表には出さないが、きっと子供たちのほうでもこの愚かな親のことで心配をしたり、苛立ちを覚えたりしているのだろう。
タイトルなし
子供たちと確執を抱え
アパートで一人暮らす老人ロレンツォ
越してきた隣人との出会いから
心を開くようになるも
彼らを失う…
.
.
“家族主義の国イタリア”
“人情溢れる下町ナポリ”
そのイメージが覆る
分かり合えずすれ違う家族の心情
繋がりが希薄になった地域社会…
大量の移民が流入している町ナポリ
人々の心の闇を容赦なく描き切り
観る者の心をゆさぶる
───ナポリの隣人公式サイトより
.
愛し方を知らない人々
考え方や感じ方は人それぞれ
血の繋がりだけではなく
理解しようとする
寄り添うことが愛なのでは
人生
その人の後ろについてくるもの
深い余韻を残す良作
.
原作は#ロレンツォマローネ
「La tentazione di essere felici (幸せであることの誘惑) 」
イタリアの名匠#ジャンニアメリオ
イタリア映画祭2018 (日本) で
「世情」のタイトルで上映された作品
「 tenerezza」
愛情·優しさ·思いやりの意
人生を振り返ると地獄
老弁護士は昔、愛人がいたため妻が早逝したと思っている、娘と息子には疎遠にされている。
隣に引っ越してきた一家と親しくなる。
特に奥さんは気さくで子供たちとも仲良くなる。
ある日、散歩から帰ると・・・。
親子関係も赦しがないと、しんどくなる。
期待はずれでした…
大人に頼らざるを得ない
Tenderness
分かる様で分からない気持ち
サスペンス。隣人は、見た。
人と街と
家族関係の難しさを描く
数年前に旅行したナポリが舞台というだけで観に行ったが、家族の問題を扱ったかなり重たいテーマの映画だった。ヨーロッパ的な作りの映画で、台詞や人の表情、行動、風景や街の雰囲気などを通して、間接的に観客に多くのことを感じさせ、考えさせようとするような映画。結末も、アメリカや韓国の映画のような、ドラマチックだったり、明確なオチみたいなものがあるわけではなく、静かに、しかしじんわりと観る者の心に伝ってくるものがある。普段は韓国映画ばかり観ている私ですが、これはこれで大好きな雰囲気の映画でした。
主要な登場人物である、主役の老人と娘、隣人家族などを演じる俳優さんたちの高い演技力、存在感、印象を強く残す表情など、素晴らしい役者さんたちだと思った。
原題の「La tenerezza」の意味を調べたら「優しさ」でした。人と人が関係を保っていくには、それが家族であっても(むしろ家族であればこそ)、相手の弱さや過去の過ちなども含めて、全てを受け入れる優しさ(受容性)が必要だということが、この映画の伝えたいメッセージだろうか。
全14件を表示