「何度も読み返したくなる小説のような映画」ラ しょうさんの映画レビュー(感想・評価)
何度も読み返したくなる小説のような映画
これから新たな生活を始める人、一歩前へ進み始めたい人に見て欲しい作品です。
ずっと燻っていた、弱さのある主人公、慎平が生まれ変わる様が主軸のストーリーです。桜咲くこの季節にピッタリな映画なのではないでしょうか!
観た感想を一言で表すと「新たなスタート」「愛」そして「一筋縄ではない、何度も観たくなる!」です。(一言で言えてない)
よく作り込まれていて、制作者の熱量を肌で感じられるような映画です。良い意味で期待感を裏切られます。
登場人物がシンプルなので出演陣の演技力が試される構成ですが、主要3人の桜田通、福田麻由子、笠松将がそれぞれ役にハマっていてファンでなくても見応えあると思います。
個人的には福田麻由子さんの迫真の演技に終始ドキドキさせられました!
それぞれの役所が絶妙に物語に絡みあって、作品を高め合っている感じがしました。
物語のなかに妙に引っかかるポイントが随所に隠されていて、振り返ってアレはこうだったのかな、ああだったのかなと考えさせられたり、観た人と語り合ったりして議論を白熱させる楽しみ方もアリな映画です。
久しぶりに映画を観ようかな、普段とちょっと違う映画を観たいなと思っている方にオススメしたい作品です!
一回観ただけじゃもったいない、何度も読み返したくなる小説のような映画です。
以下物語の内容若干含む内容です。
主人公慎平は周りの人にすごく愛されているなと思いました。ただ愛し方も人それぞれ、色んな形があります。わかりやすく表現されているものとして、恋人の歪んだ愛、母親のまっすぐ温かい愛情、素っ気なかった父親の実は心配してくれてたんだという隠れた愛情、など。
ただ振り返って考えると最終的に袂を分かった「元」親友も一見最低野郎に成り下がった奴ですが、また違った形で慎平のことを想っていたんだなと思える面もあったり、振り返るほど発見がある映画に仕上がっています。
ぼく個人は勘繰ったりしてモノを見てしまうので、あいつ、実は一番悪いやつだよなとか、黒幕はアイツで、だとするとあのシーンはこんな意味があるのかな、とか、深掘りできるキャラクターが物語のサイドで深みを持たせています。映画特典の映像も観ましたが、それを観ることで設定を綿密に練られているんだなとわかる部分もあり。また観たくなってしまう憎い仕掛けも施されています。