死の谷間のレビュー・感想・評価
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犬が癒やし。
ディストピアに残された男と女と男。あと犬。犬可愛い。
ハラハラドキドキというより落ち着かない不穏さがずーーーーっと続く感じ。大きな事件が起きる展開ではないので、下手な役者なら間が持たないがさすがのメンツなので観ていて飽きない。
唯一自分以外に頼れる人が1人、しかも男性なのでアンがジョンに気を遣うのはわかるし、そのために性的関係を持とうとするのもわからなくはない・・・のだが、ジョンと恋人っぽくなったあとでケイレブと関係持っちゃうのはなんなんだ。クリスチャン同士の方が良かったってこと?わからん・・・。
そしてこの状況でおそらく避妊具なんかないだろうに妊娠したらどうするんだろう。おそらくまともに育てられないし子供が大きくなって同年代の人間が誰も居ないなんて絶望だろうに。なんか短絡的だなあと思ってしまう。
最後は観客の想像に委ねる感じなのか。どちらともとれるけどアンとジョン箱のママ曖昧憎らし続けるんだろうか。
そして、犬が唯一の癒やしなのにいつの間にかフェイドアウト。犬どこ行った。
三人寄れば文殊の知恵
三人寄れば文殊の知恵ともいうけれど、この三人は出会ってしまったことによりお互いのエゴが露呈してしまい、残念な結果に…
恐らく、アン、ジョン、ケイレブそれぞれごく普通の人たちであったはずやけど、アンという1人の女性をめぐりジョンは冷静さを失ってしまった。男性2人、女性1人というのが悲劇の始まりやったのか…全体的に地味な話やった。
少人数シチュエーションスリラー
多くの人の見立ては、男二人と女一人の愛憎劇とか、第二のアダムとイブの物語とかいったもののようで、それが間違いだと思わないけれど、観た直感的な感覚では信仰と科学の対立、男女の対立、もっとシンプルに人間と人間の対立の物語だったように思う。男女の愛憎は人間同士の対立に内包された一面にすぎなかったように感じた。
登場人物三人が揃うまでを思い返しても、もしかしたら地球上に自分一人しかいないかもしれない状況で、自分以外の人間に遭ったときに喜ぶのではなくお互いに全力で警戒するってどういうことよ?
ここからして対立した人間を描いた作品だったように思うんだよね。
それで、いうなればコレはシチュエーションスリラーのような類いの作品なんだと思う。
誰もが信用できない、裏切り者は誰だ?みたいなやつね。実際はそこまでスリラーではないけれど、そんな感じの雰囲気と第二のアダムとイブが混ざり合った映画になった。
面白く観れたし自分の好みでもあったけど、焦点の定まらないフワフワしたものを感じたのはストーリー展開のせいかと思っていたところで面白い話をきいた。
子どもが親に怒られるとき、日本では家の外に追い出され、アメリカなどではクローゼットに閉じ込められる。つまり、日本では外に行かされることが罰で、アメリカなどでは外に行けないことが罰なのだ。
アン以外の登場人物が揃いも揃って安定を捨てて外に行きたがっていたのだ。なんとなく腑に落ちない原因は多分これだ。思わぬところで文化の違いを思い知った。
最後の戦い
リュック・ベッソンのデビュー作「最後の戦い」を思い出した。核戦争後に生き残った男たちが一人の女をめぐって互いに殺しあう。人類が戦争で滅んでも愚かな戦いをやめることができない人間の悲しい性を描いた傑作だった。
原作の主人公は15歳の少女であり、男は一人しか出てこない。しかし、核戦争で人類が滅び、唯一生き残った人間が結局愚かな行為を繰り返してしまうという救いのない話であるのは原作と同じかも。むしろ本作は原作以上に人間の持つ業の深さをより鮮明に描いているかもしれない。
恋敵のケイレブを殺したであろうジョンは元研究者であり、知性的で理性的な人間といえる。
アンとの男女関係についても慎重で紳士的であった。しかし、ケイレブが現れたとたん彼の心の奥に潜んでいた様々な感情が表出する。
明らかに二人の関係が気になり、ケイレブをアンに近づけまいとするジョン。また二人がひかれあってると思うと、黒人であるという引け目もあってか自分は身を引くということを口走り、あくまで紳士的に冷静に振る舞おうとする。
しかし、そのように冷静を装えば装うほど彼の中ではケイレブへの嫉妬心でいっぱいになる。
そして二人が深い関係になったと知ったとき遂にジョンはケイレブを手にかけてしまう。
互いの欲望や憎悪がもとで戦争を起こして自滅してしまった人類。その唯一の生き残りである人間が皮肉にも己のエゴから同じ過ちを犯してしまう。
核汚染を免れたオアシスのような谷で再び起きた悲劇。ジョンのように人類の文明を唯一後世に引き継がせる能力があった人間でさえ、この人類の悲しい性からは逃れられないのか。
人類の逃れようもない業の深さを描いたサスペンスの佳作。ちなみに信仰の象徴である教会を取り壊して文明たる発電のための水車に作り変えるくだりなどはとても印象的でいろいろと考えさせる作品でもある。
タイトルなし
核汚染のないオアシスのような世界で男二人女一人の世界。男一人現れてから急に嫉妬が渦巻く。ラストは殺してしまったのだろうが、オルガン弾いてるところで終わってしまうのは残念。
イマイチやったなあ!
マーゴットロビー、キュワテルイジュホ、クリスパイン
そして、人類が滅亡とされた世の中。
女と犬と黒人とイケメンの白人
黒人は、彼女を抱けず
白人は、躊躇なく抱く
そして
揉める
背景には、美しい
大地が!
後味悪し
なんとも釈然としない終わり方
心を許した相手と弟の命を奪い、何もなければ真実を語らない男と二人きりとなり、主人公の女性がこの後どのような暮らしになっていくのか。
信仰の有無が大きく関係しているということなのかな。
チェリーソーダ
単に炭酸水という子供じみた甘い飲み物なのか、それとも、童貞嫌いなのか、何ともダブルミーニングが散りばめられたような奥深い作品である。
そもそもの舞台が核戦争後の世界が舞台であり、その中に一人取り残された田舎娘が、黒人の男を発見し、そこから又、別の白人の男を見付ける、その奇妙で微妙な三角関係を丁寧に描くサスペンスである。ジャンルはSFだが、まぁ設定がそんなディストピアだからであろうが、これはヒューマンドラマであろう。そしてテーマは『アダムとイブ』、『信仰と科学』、『嫉妬と愛憎』。
シーンでの丁寧なストーリーテリングは、ここ最近お目に掛けない程の出来である。各役柄のキャラ設定や、性格や過去の出来事紹介を過不足無く分かり易くシーンに溶け込ませているから、ストーリーに没入しやすい。これはテレビドラマではないのかと見間違うほどの丁寧さである。その中から娘と科学者の心の移ろいや嫉妬、狡さが存分に表現されている。『大事にしている教会を壊さなければ電気を作れない』のは、君の心がそれを神聖化しているからだという件は、この女性にとっては心に響く言葉である。それは理性と感情のどっちを取るのかという究極の選択をもたらし、人間の業の深さに女は苦悩する。都会と田舎の対比も非常に解りやすい。上手くいきそうでいかないそのシーソーゲームのような展開も面白い。男同士の静かな鬩ぎ合い、しかし最後には女の弟を見殺しにしてしまった科学者の覚悟が勝ったようなラストに、この話のどす黒さ、深淵が心にジワジワしみ込んでくるようでとても秀逸な鑑賞をさせてもらった。ここまで痒いところに手が届く説明的シーンが続くのに、しかし男同士の結末は直接描かない、ギリギリの緊迫感で終わらせるのも、絶妙なさじ加減である。
女が奏でるオルガンの賛美歌が、この作品の中心を作っていてその劇伴の素晴らしさも併せて評価したい。
最後にマーゴット・ロビーの好演技に拍手を贈りたい。でも、確か脱ぐんじゃなかったっけ?w
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