「少人数シチュエーションスリラー」死の谷間 つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
少人数シチュエーションスリラー
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多くの人の見立ては、男二人と女一人の愛憎劇とか、第二のアダムとイブの物語とかいったもののようで、それが間違いだと思わないけれど、観た直感的な感覚では信仰と科学の対立、男女の対立、もっとシンプルに人間と人間の対立の物語だったように思う。男女の愛憎は人間同士の対立に内包された一面にすぎなかったように感じた。
登場人物三人が揃うまでを思い返しても、もしかしたら地球上に自分一人しかいないかもしれない状況で、自分以外の人間に遭ったときに喜ぶのではなくお互いに全力で警戒するってどういうことよ?
ここからして対立した人間を描いた作品だったように思うんだよね。
それで、いうなればコレはシチュエーションスリラーのような類いの作品なんだと思う。
誰もが信用できない、裏切り者は誰だ?みたいなやつね。実際はそこまでスリラーではないけれど、そんな感じの雰囲気と第二のアダムとイブが混ざり合った映画になった。
面白く観れたし自分の好みでもあったけど、焦点の定まらないフワフワしたものを感じたのはストーリー展開のせいかと思っていたところで面白い話をきいた。
子どもが親に怒られるとき、日本では家の外に追い出され、アメリカなどではクローゼットに閉じ込められる。つまり、日本では外に行かされることが罰で、アメリカなどでは外に行けないことが罰なのだ。
アン以外の登場人物が揃いも揃って安定を捨てて外に行きたがっていたのだ。なんとなく腑に落ちない原因は多分これだ。思わぬところで文化の違いを思い知った。
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