「時空を超えた初恋の物語」ペンギン・ハイウェイ しろくまさんの映画レビュー(感想・評価)
時空を超えた初恋の物語
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まさにSFジュブナイル。
しかも、絵柄に反して意外とハードSFで(原作は日本SF大賞受賞)、そしてボーイ・ミーツ・ガールの物語。
残念ながら、途中、ややだれる。
“海”のこと、お姉さんとハマモトさんの対立(嫉妬)、そしてハマモトさんのお父さんのことあたり、もう少しすっきり描ければ。
お姉さんの存在理由が哀しい。
彼女は世界の綻びを直す“修復者”であり、世界の綻びである“海”が喪失してしまえば、その役目を終える。つまり、この世界から消滅する。
お姉さんには生家や両親の記憶もある。しかし、それは作られたものだ。誰が?何のために?そうした背景は語られない。
彼女は最後にアオヤマ君に言う。「君が大人になったところを見たかったよ」。そう願えばこそ、彼女は、アオヤマ君の未来のためには、自分が消えるしか選択肢はないことを知っている。
そうとすれば、物語の前半、お姉さんがアオヤマ君に話した謎かけの意味が違ったものになる。
「きみには、この謎が解けるか?」
この謎は、単にペンギンのことだけではない。彼女自身の存在のことも意味していたのである。
ラスト、アオヤマくんは“海”に飲み込まれたはずの「探査船」を見つける。
それは、この世界と「世界の果て」が、どこかでつながっていることを表している。
アオヤマ君は科学好きな子。彼は大きくなって、科学者となり、たくさんの謎を解き、世界の果てに行って、お姉さんと再会することを心に誓う。
これは時空を越えた初恋の物語なのである。
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