劇場公開日 2018年8月17日

「ペンギン・ハイウェイ」ペンギン・ハイウェイ laviさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ペンギン・ハイウェイ

2018年8月19日
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泣ける

興奮

知的

今年、自分の中でこれを超える作品は出てこないだろう。
売り方については少し疑問があった。
内容からして小学生が面白いと思うようなものではないと感じたが、だからこそ、小学生に、そして大人に見てほしい作品だった。
これはSFであり、論理的な思考をする主人公を主軸に物語は進む。故に、論理的思考に拒絶感を持つ人にとっては面白さに欠けたかもしれない。ただ、そこまで難しいわけでもないのが本作である。
主人公は、観察し、実験をする。そこにあるのは紛れもない客観的な事実であった。そして、その事実たちをどう結びつけていくかというのが本作品の中での謎、であり、それについてはしっかりと作品中に説明があった。その中で、考察が不十分な箇所があったかもしれない。ただ、忘れてしまってはいけないのは、これは少年アオヤマの出した答えであるということだ。少年はすべてを解明した訳ではない。彼はこの先、目標を果たすため、まっすぐとペンギン・ハイウェイを登っていくのだ。
アオヤマの周りの人間の変化というのも興味深かった。途中で子供と大人、そして個人としての対立があったが、少しはっとする場面がいくつもあったのを思い出す。そしてそこには必ず理由があった。そこが論理的な考え方をするアオヤマとの関わりとして、作品としてとても自然に感じた。
少しのいやらしさもない真っ直ぐな愛情というものを私はこの作品で見た。アオヤマの持つ純粋な知的好奇心は懐かしさを感じさせ、美化された思い出のようだった。
ともかく私は原作の小説を読んでみることにしようと思う。いや、読みたいといったほうが正しいだろうか。

lavi