「少年とお姉さんの夏物語」ペンギン・ハイウェイ Geso_de_Nyoroさんの映画レビュー(感想・評価)
少年とお姉さんの夏物語
モノが全く異なりますが、立ち位置がエヴァのシンジ君とミサトさんを思い出されました。微妙に中二加減で意識高い少年の、母性あふれる巨乳お姉さんに対する恋物語風味のホノボノ作品です。
この作品はアオヤマ君ほか子供たちとお姉さんの、ペンギンや海と称される謎の物体のアレコレに対する研究活動を通し、ひと夏の出来事をマッタリ鑑賞する作品で、いわゆる〝セカイ系〟ってヤツです。
ただ物語上ペンギンの重要性は第一ではなく、そのセカイにおける触媒みたいなものです。ペンギン&お姉さんの存在やセカイの謎解きをする様子を、アオヤマくんとお姉さん、そしてハマモトさんの微妙な△という小学生の分際でリア充な日常を生暖かく見守る、そんなスタンスが良いのかと思われます。
ナゼなら結局アレは何だったのかという謎の解明は『穴』と言う表現で白黒不明な残尿感的で、コレを気持ち悪く感じる人も居るでしょう。ですが物語の事件性も抑揚もシッカリ味が付いていますので普通に楽しめると思います。
中二加減で意識の高いアオヤマ君ですが、一方でオッパイ好きというヘンテコなバランス?も取れていて、大人びた子供らしい部分の表現は巧くまとめていると思います。この辺は『未来のミライ』が失敗したと思しき部分です。個人的には現実とアニメのソレが完全に同期する事に重要性を感じておらず、寧ろソレが作品を狭窄させると考えているからです。
一方コチラは、チョッとウザくてメンドクサイ少年アオヤマ君にもチャンと目線が行くし、周辺の個性豊かな子供たちも引き立っています。終盤のスズキ君もお約束とは言え良いシーンを見せてくれたと思いますし。
また、お姉さんとアオヤマ君の掛け合いも好感触でした。もっともケモナーじゃないので姉ショタの方が好みですがw
残念なのは、コレ夏休み入りに公開されていれば、もう少しお客さん入ったのかも知れません(今子供たちは宿題に負われてる?)。この作品に触発され自分達の周囲のアレコレに関心が高まれば良かったのかなと。
そして、アオヤマ君の意識の高さは寧ろ大人も見習うべき所で、コンニチの思考停止・思考拒否・考えナシな大人たちへの爪の垢と言えるでしょう。特に彼の父親は理想的な大人の姿です。