「長編アニメ映画市場を意識し過ぎ?」ペンギン・ハイウェイ beshさんの映画レビュー(感想・評価)
長編アニメ映画市場を意識し過ぎ?
長編アニメのドル箱マーケットが映画ビジネスにとって重要なことは理解できる。今作はそうした中で、ヒットを狙って作った感があり、あまり好感が持てなかった。かわいい動物と、おねショタと、爽やかな田園都市と、夏の終わりと、青春SFと、宇多田ヒカルと、売れそうな要素を薄味でごった煮た感じの演出で、これまでの森見登美彦原作のアニメーションがオリジナリティ溢れる名作続きだっただけに残念に思う。確かに湯浅監督作品と夏休み娯楽作としての本作を比較してしまうのは辛くもある。しかし、文学的な世界観の追求があってこそのストーリーのように思う。全体的に気持ちの良いアニメーションだか、細田っぽくもあるし、新海っぽくもあるし、エヴァに似た感じもするし、意図的なオマージュと思われるシーンもみられたが、音楽の使い方含めて、どこかでみたことある要素が多く新鮮な感動を得られなかった。これも何かの狙いがあってのことなのだろうか。アニメが重要マーケットとなったいま、過去の傾向と対策から、ヒットを当てに行くことも大事なマーケティング戦略なのだろう。そうした商業アニメーションの型から生じる窮屈さのようなものを本作に感じ、ジブリロス、「君の名は。」以降の、大衆アニメ娯楽作品づくりの難しさが透けて見える気がした。
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ポコだるまさんのコメント
2018年8月29日
森見登美彦原作はもちろん素晴らしいです。四畳半神話体系、夜は短し歩けよ乙女、は原作の持つ文学性の高いストーリーと、湯浅監督アニメの寓話的世界観が絶妙にリンクしていて好きだっただけに、本作の売れる要素を意識したと思われる演出の数々が、個人的に好きではないです。