ペンギン・ハイウェイのレビュー・感想・評価
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影絵たちが演じる「セカイ系」
アオヤマ君と謎のお姉さんの関係が世界に投影され、危機が訪れる。そして問題の解決が世界の救済につながる。実存のレベルの謎が世界の謎と直結していて、実存の問題の解決が世界の救済につながる。いわゆる「セカイ系」の物語だ。
社会学者の宮台真司は、セカイ系の本体は軽くなった「現実」だと指摘していた。そう、「現実」が軽く希薄なのだ。細田守監督『未来のミライ』でも気になったことだが、キャラクターに固有名がなく、「おとうさん」「おかあさん」「お姉さん」などと呼ばれる。ただの記号だ。軽くなった「現実」では、固有名のないキャラがご都合主義的にセカイ系のお遊戯を演じる。何の痛みも感じられない。
だが、作品の質とは関係なく、蒼井優の声はよかった。マイケル・アリアス監督『鉄コン筋クリート』のシロ役同様、目を瞠る素晴らしさだ。
好奇心の素晴らしさを思い出させてくれた
知的好奇心がいかに人生を豊かにするかを躍動感溢れるアニメーションで描いた快作。ジュブナイル映画の秀作がまた1つ生まれた。
観察と実験に明け暮れ、世界の様々な謎の考察をノートに取り続けるアオヤマ君は、ある日突然町中に出没したペンギンと、近所の歯科医院に務めるお姉さんの謎に挑む。世界の謎を知り少年は成長していくが、同時に悲しい別れも経験する。残酷な真実も全てを知ろうとするアオヤマ君の姿は、人の知性と好奇心が世の中を前進させてきたんだと教えてくれる。
お姉さん役の蒼井優の芝居が素晴らしい。本職の声優ではないが、声色芝居が板についており、基本的な演技力が高いことを証明しているアオヤマ君の親友、ウチダ君を演じた釘宮理恵さんもいい味を出してて、作中最も可愛いキャラクターを作り上げていた。
本作を観たあと、今までスルーしていた世界のいろいろなことを調べたくなってきた。久しく枯れていた好奇心を取り戻させてくれる映画だった。
絵が好きでした ペンギン可愛い
ジブリのような親しみやすい画面で、背景は美しく、ペンギンや人物たちも可愛くて好きだったのですが…自分の理解力が足りないせいか、途中からよくわかんない感じになってしまい少し残念でした。小学生視点の話なので仕方ないのでしょうか?あまりスッキリしません。視聴後に考察する余地がないほど答えを全て言ってしまうような作品が絶対に良いと思っているわけじゃありませんが、その前までの展開を踏まえるなら、最後にアオヤマくんが全ての現象をハッキリ説明して欲しかったような気がします。
序盤の”この世界に入り込みたい”と思わせるような画面作りは最高でしたが、モヤモヤが残る終わり方で、もう一度最後まで見たいかと言われると…うーんって感じです。
キャラクターは良かった
キャラクターは良かった
頭が良くて、エロい子供というのは今までにない組み合わせ、
だが、完成されたキャラクターしか、登場せず。
物語の最初と最後で、感情の変化したキャラクターは、ほぼいない。
主人公の目的は、謎を解くということで、様々な事を調査しているが、
全ての謎が一つに繋がるというミステリーテイストのストーリーラインだが、
一番の謎が事前に伏線などもなく最後いきなり提示される、
また最後まで主人公にもよくわからない、不思議なものだったとなっており、
謎が謎のまま終わる。
こういった最後なのであれば、ミステリーではなく別の見せ方が良かったのではないかと思われる。
ストーリーがわかりにくく盛り上がりに欠ける
少年が他人の大人の女性を異性として意識し始めることを表現した作品と思われるがオチがわからなかった。主人公の男子小学生「アオヤマ君」が仲良くなった歯科助手の「お姉さん」が近くにいるときにだけ町にいるはずのないペンギンが異常発生することに気が付く。アオヤマ君はなぜペンギンが異常発生するのか調査を開始する。やがてアオヤマ君の住む町に不思議な現象が起こり始めて超常現象がピークになった後お姉さんがいなくなって物語が終わるのだがおそらく少年のオアヤマ君は歯科助手のお姉さんに恋心を抱いていて空飛ぶペンギンは精通の比喩表現なのだと思った。私が小学生のころはそういうお姉さんはいなかったのでこの作品には共感できなかった。少年の恋の芽生えを表現した映画に「崖の上のポニョ」があるがあれも海の生物が登場していた。海の風景には生命の誕生をイメージさせる雰囲気がある。陸は父で海は母のイメージだと思う。両作品は幻想的なアニメーションは魅力だがストーリーがいまいちなのは共通している。アニメ映画「崖の上のポニョ」は幼稚園児の宗介と人魚ポニョの恋の話だ。海にいるポニョが陸にいる宗介に会いたくなって大嵐と大波を起こして宗介に会いに行くシーンはアラレちゃん(1980年代の大人気テレビアニメ「ドクタースランプ アラレちゃん」の主人公)のような疾走感がすごかった。このポニョの疾走は宗介への激しい愛をわかりやすく表現した名シーンである。このシーンは「愛」とは「会い」であり、愛とは会うことなのだと納得感がすごい。会いたくなることが愛なのである。それに比べてこの「ペンギン・ハイウェイ」はペンギンが疾走するがわかりにくくストーリーが謎すぎて盛り上がりがいまいちだった。(感想おわり)
ショ〇コンにはたまらない養分になりました
何が「おっぱい」だよ気色悪い。
世界の果てに向かって続くペンギンハイウェイ
原作小説を読んで、衝撃を受けたのは随分前のことだ。
小学4年生の男の子と不思議で綺麗なお姉さん。淡い恋心。そして小学生の生活圏内での同級生達との小さな冒険。そんな舞台設定でも何か一つ面白い話が書けそうなものだが、そこに奇妙奇天烈な設定。
森見登美彦の脳内は一体どうなっているのか、どうしてこんな物語が書けるのか?不思議で不思議でしょうがなかった。
ペンギンを出すお姉さん。
お姉さんのおっぱいと顔をじっと見てしまうのは何故かと考えてしまうアオヤマ君。
謎の海。海を消すペンギン。
全てを知っているようで、ヒントしか教えてくれないお父さん。
不思議なんだけど、怖いという感じがしない。なんだか、ありそうな、あったら面白そうな気もする。そんな世界。
原作小説を読んでいると、鋭い観察眼を持つ大人びたアオヤマ君のキャラクターのせいか、大人の目線でこの不思議な世界に入り込んでいくような気がしたが、この映画では、小学生の目線で観ることができた。アニメの画と声の力で、世界が広く、明るくなったように感じられた。
キャラクターが動き、話し、アオヤマ君の街の風景が広がっていく。ペンギンがキュッと鳴く。かわいい。この不思議な世界のペンギンは、これだ!っていう姿で出てくる。
原作の世界観を見事に映像化し、活字から想像するとちょっと浮世離れしたアオヤマ君とお姉さんをぐっと身近な存在にしてくれた。
アオヤマ君は観察を続けた。彼は、お姉さんとペンギンと海の不思議を完全に解明できなかった。解明できなくても別によかったのだ。解明することは、大事なことではない。
原作小説の最後のアオヤマ君と父との会話。
アオヤマ君は「世界の果てを見るのはかなしいことでもあるね」とつぶやく。
私はこの会話と最後のアオヤマ君の決意を読んで泣いてしまった。
そして映画を観て、この会話を思い出して泣いてしまった。
大人の世界に足を踏み入れようとする少年が遭遇した不思議なお姉さんは、世の中には、理屈では説明できない理不尽と、不思議と、そして愛っていうものがあることを教えてくれた存在のように思えて、何故だか暖かくも切なくなってしまったのだ。
この作品は、かわいいペンギンの出てくるSFアニメとして子供でも楽しめる映画だけど、大人の方は原作も読んでみると、とても深いお話であるということがわかると思います。
絵が綺麗だった。そして、エンディングの宇多田ヒカルの曲もこの作品にマッチしていてよかった。本当に、見事な映像化作品でした。
「メッセージ」ような世界観のSF少年ファンタジー
映画「メッセージ」の原作は1998年に発表された
テッド・チャンの「あなたの人生の物語」とのことです。
それをドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が2016年に映画化して
大評判になりましたね。
翻って、この「ペンギン・ハイウェイ」は森見登美彦さんが
2010年に発表した「同名小説」を原作としています。
発想がよく似ているというか、突然、不思議な生命体が現れて、
そして何をするともなく去って行く。
そして一方では、主人公のアオヤマ君(小学4年)の世界に、
東京にはいるはずのない《ペンギン》が現れる‼️
なんとも摩訶不思議な物語です。
そしてペンギンは、アオヤマ君の憧れのお姉さん。
そのお姉さんがコーラの缶を空に放り投げると、突然
現れるのです。
本当に驚きました。
こういう発想をする人がいる。
それが小説として完成して、更にアニメ映画になり、完成した。
なんか不思議な夢を見ているような体験でした。
そして声優を担当している俳優さんの豪華なこと。
アオヤマ君・・・・北香那(まだ、「春画先生」でブレイク前ですね)
お姉さん・・・蒼井優
アオヤマ君のお父さん・・・西島秀俊
ハマモトさん父親・・・竹中直人
同級生のハマモトさん・・・藩めぐみ
全く知らなかった映画です。
アンテナに引っかかって観れてラッキーでした。
特殊能力を持つお姉さんがペンギンを生み出すほのぼのストーリーかと思...
集団幻覚を俯瞰できるアニメ
🌀絵が抜群に良い...光と影の描写が美しく、風の描き方は秀逸である。
🌀ビジュアル的に特徴的なキャラクターはいない...メインキャラの性格は個性的。
🌀謎のお姉さん(蒼井優)...男性語を使うところが良い。髪がなびく瞬間が素敵。
🌀「地球」、「宇宙」という言葉がセリフの中に出てくる...この熟語は人を思考停止にさせる。
🌀アオヤマ達が「海」と呼ぶ物体...秘密裏に研究しようとするも大人に知られてしまい、まるで南極条約のようにアオヤマ達は勝手に調査することも近づくことすら出来なくなる。
🌀ペンギンが出現したり不思議な現象が起こる...結局証拠が残らないから集団幻覚として片付けられそうだ。
🌀主題歌の『Good Night』(宇多田ヒカル)...アニメ映画のエンディングはこの人に任せたら間違いない。
思ったのと違ったけどよかった!
•お姉さんがペンギン出した時ビックリ!
•お姉さんの声がちょっと見た目と合ってないような気がした、、悪くはなかった
•ペンギンと一緒に海に行くシーンはめっちゃ好き!
ペンギンハイウェイ研究
映画「ペンギン・ハイウェイ」には大きな謎がある。この物語のテーマは何か?ということだ。
全ての映画にテーマを求めている訳ではない。単純な娯楽作だって存在して良い。
だが「ペンギン・ハイウェイ」にはあるはずだ。この作品の根幹を成すテーマが。なのにその姿はハッキリとは見えない。「何となく、こんな感じなのかなぁ」と思うだけだ。
このモヤモヤは何だろう?面白いと感じる要素はあったはずだ。謎解き・冒険・成長と、物語に引き込まれる仕掛けはあった。でもどれも大きな感動を引き出すパワーに欠けていた。何故か?要素と要素をつなぐテーマが見えてこないからだ。
この作品のテーマを探るべく、私は原作を紐解くことにした。本を読んでも面白くないなら、素材が悪い。本が面白いなら、脚色が悪い。乱暴だが、概ね間違ってないと思う。
結論としては、本は面白かったしテーマもちゃんと描かれていた。
で、気づいたのだが細かい演出を失敗しているのだ。例としてトラックに乗せたペンギンが消えてしまうシーンを挙げる。
映画では衝撃を感じてトラックを停めた運転手の戸惑うカットが入る。その後、教室で噂話として輸送中のペンギンがいなくなった現象を知る。先にストーリーを知っているならともかく、件の運転手がペンギンを乗せていた事が瞬時に理解できる工夫がない。
運転手を一目で特徴が掴める髪型(モヒカンとかリーゼントとか)にするとか、派手な塗装のトラックにするとかやりようがあったはずだ。
それだけで「あれってペンギンだったんだ」という後出しの印象が無くなり、「ペンギン消失という不思議現象の目撃者」になる体験を味わえる。
ストーリーをなぞってはいるが、あくまでも「知っている人向け」でしかなく、後から説明されるだけの謎解きは退屈でしかない。
収まりきらない部分は大幅に削っているものの、冗長感を解消させるには至らず「切った割にはテンポが悪い」展開なのもいただけない。しかも切った部分がテーマに直結しているから「アオヤマ君の成長」も中途半端なものになっている。
特に「死ぬということ」についてのウチダ君の研究は、アオヤマ君が「大切な存在」であるお姉さんの喪失をどう捉えるのか、その理不尽とどう折り合いを着けるのかを決定づける大事な要素である。
それがあって初めて「僕がどんなにもう一度会いたいと思っていたかを」の台詞に深みが出るのだ。
2回目観たら話が解ってる分面白く観られるかもしれないが、1回目より2回目が面白いのは当たり前の話だ。
素材の持つ哲学的な部分が活かされていないのはたいへん残念なことだと思う。
可愛いペンギン
多感な時代の夢見る時間
誰もが共感する少年時代ではないかな? ベルヌの世界に憧れ、童話全集を読みあさりアリスに憧れた時代。同級生の胸のふくらみに興味津々。そんな小学生時代と見事に重なる。
現実世界とは別の自分の夢の世界を持った。この作品では、それがペンギンや謎めいた女性かなあ?
ノスタルジックでしあわせな気分。良い作品に巡り会えた。
結局、世界系なんですね。
映画館で見たときは、良く分からなかったところがあったので、テレビ放送の機会に再度視聴しました。上映当時、お姉さんの描写が女性差別的だと言われ炎上したりしてました。確かにお姉さんは名前も明らかでない上、社会人なのに親戚でもない小学生と遊んでくれたりと、現実にはありえないキャラクターですが、これは、世界系というジャンル内なら全く問題無いのです。世界系の定義は色々ありますが、要は男性主人公とヒロインのローカルな関係内での行動が世界の破滅や救済にストレートに展開していく一連の作品群のことを指します。お姉さんは優しい涼宮ハルヒなのです。世界系が流行ったのは少し前なので、世界系的展開に免疫が無い人が増えている状況で封切られたのが良くなかったんでしょう。本作品は主人公に都合の良いヒロインを楽しむ話で、そういった意味では観客を選ぶ作品なんだなぁと改めて思いました。決して子供向けでは無いのです。
子に尋ねられても困るでしょう
主人公は青山君、小学4年生の設定、どうやら研究者らしい父親の影響なのか論理的思考に嵌っている。自由研究に行き詰まった子に父が説くエウレカの方法というのが言い得て妙なので感服。
エウレカというのはギリシャ語でアルキメデスがかの入浴時に叫んだと言う、発見!という言葉。
エウレカの方法
・発見したことや考えたことを一枚の紙に全部メモしなさい。
・頭の中でメモが飛び交うくらい、それを見なさい。
・それでも分からないときは、考えることを辞めなさい、よく遊んでよく食べてよく眠ること。
そうすると、バラバラだったもの突然つながる瞬間がある。
同級生の女の子浜本さんも学業優秀、なんと小学生なのにアインシュタインの本を抱えています、こちらも父親が京大の教授で研究者肌、そんな学者の子供たちという妙に頭でっかちな子供の妄想SFといったところか。
コーラ缶がペンギンに変るなんて何が何やら翻弄されっぱなし、終わりになってみれば物語はファンタジーというよりSFの世界観、マルチバース、森の奥に突然出現した謎の水球は地球に空いたワームホールのようなほころび、呑み込まれれば世界の終り。
ペンギンを作っていた歯科医院の巨乳のお姉さんは地球を救う為に異世界から来たらしい。彼女の作り出すペンギンたちが穴を修正してくれるというから驚きだ。
ただ観終わってみるとおっぱいフェチの早熟な少年の夏の初恋物語の様でもある。
アニメだから子供向けなのだろうが理解できる子がどれほどいるのか、子に尋ねられた親もしどろもどろといった光景が目に浮かぶ・・。
ペンギンがいっぱい!?等身大の小学生を中心に描いたSF作品
正直予告編を見た時の印象はあまり良いものではありませんでしたが、たまたまYouTubeのおススメ欄に出てた紹介動画を見て視聴してみました。
この作品を一言で評価すると・・・
「やや謎が残るが、人物や出来事に関する描写が非常に丁寧な優等生的な作品」
ですね。
この作品に原作があるということは知っていましたが、未読なため始めは等身大の小学生とお姉さんの関係性を描いた群像劇だと思っていました。まぁ序盤はそうなんですけどね。
しかし中盤に差し掛かるにつれてこの作品のキーとも呼べる’モノ’を見つけ...
ここからSF特有のワクワクや面白さが指数関数的に向上していくんですね。
物語の終盤!クライマックスまでこの面白さは向上し続け、最後は華やかにすこし物悲しい感じに物語は収束していきます。
やっぱり映画は、いやあらゆるコンテンツは自分の目で心で味わってこそですね、
約2時間というアニメ映画にしては長めの上映時間ですが、本当にあっという間でした。
スタジオコロラドが彩る自然風景は思わず見とれてしまうほど美しく、演出や音楽もこの作品をたかる上で欠かせないほどの貢献を果たしている。
本作は女優さんが主要キャラを演じていますが、声質は声優さんには及びませんが演技は申し分ないので安心して重厚な物語に浸ることが出来ますよ~
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