「あっという間の72分間」ウトヤ島、7月22日 soleilヾ(´ε`○)さんの映画レビュー(感想・評価)
あっという間の72分間
世界一安全な島だよw とママに電話するところから、首都でのテロ報道を聞いて、ん?と思ったら急に銃声。
何発かは銃声だと気づかなかったけど、逃げてくる人々が建物の中に逃げて!!と扇動して建物の中にワラワラ避難するも、そこ狙い撃ちされたら一発で死ぬやん…と思いきや、森の中にさらに逃げてゆく青年会のメンバー。
この作品に、恐怖感とかスリルを求める人は合わないから見ない方がいいかも。
人間は未曾有の状況になると、自分が信じたいものしか目に入らず、他者から見てそれはやらないでしょ!ってことを平気でやる精神状態になる。
銃撃者が何人いるのかも、どこにいるのかも、なにもわからない状態で、丸腰で森の中にいて、よし、反撃しよう!なんて考えられないだろうよ。
ワンカット手法により、すごいリアルな追体験ができた。
息を潜めつつも、喋ったこともない女子だけど、どうにか助けようと必死になるも、ただ死んでいくのを隣で見るしかないなんて狂うでしょ…。これが77人、重症者は90人。次の瞬間は自分だ、って思ったら、防衛本能で普通の会話もしたくなるよね、至って普通の人間の行動よ。
このへんもリアルなんだよなー。
海沿いの岸壁の窪みに潜んでたのに、そこさえも見つけられて崖の上から撃たれまくる。
この時、カメラの向きが崖の泥濘に向かってるのが臨場感をさらに向上させて、もう、どこにいてもダメじゃん、、という絶望感を味合わせてくれる。
政治に興味のある若者達のキャンプだったから、わりと冷静な人達だったのかな。
無駄に騒いだり、煽ったりする描写がなく、そこにリアルさを感じた。
見えない銃撃者、見えない被害者、どこに隠れるのがいいのか、逃げるのがいいのか、電波も弱い島で何も情報がない中、口喧嘩したままの妹と離れたままでお姉ちゃんの本能で逃げる方向の森とは真逆の銃撃者がいる方へ妹を探しに行ってしまう。
これも、政治家を目指すような正義感あふれる女子の性格が表れてるよね。
テントのそばにいて、お兄ちゃんを頑なに待ってる黄色いジャケットを着た男の子を説得して森に逃げるように勧めたり、結果ラストに撃たれた姿を発見して、同じ黄色いセーターを着てた妹への希望がそれで崩壊して撃たれちゃったね。
でも助けに来た船に妹は乗ってた、で誰かの手当てをしていたからお姉さんを見つけて一緒に救助ボートに乗っていたと思いたい。
主人公のお姉ちゃん(カヤ)役の俳優さんがあっぱれだった。撮影大変だっただろうな。
顔についた泥もなにもかも払うことなく、極限のリアルさを演出してくれた。
あと、蚊はCGだったのかな…