「【ホン・サンス監督の巧みな会話劇を愉しむ作品。それから、ホン・サンス監督作品あるあるを記す。】」それから NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【ホン・サンス監督の巧みな会話劇を愉しむ作品。それから、ホン・サンス監督作品あるあるを記す。】
■アルム(キム・ミニ)は、評論家としても有名なキム(クォン・ヘヒョ)が経営する小さな出版社でキムが頼んでいた教授からの働くことになる。
何故ならば、キム社長はイ・チャンスク(キム・セビョク)というたった一人の女性社員と浮気をしていたが、お互いに気まずくなって辞めたからである。
出勤初日、アルムはキムの浮気を疑い会社に乗り込んできた妻(チョ・ユニ)に、夫の浮気相手と間違えられてしまう。
さらには、イ・チャンスクが戻ってきたことで、キム社長を中心とし男女間の思惑、狡さ、優しさが会話を通じて描かれる。
◆感想<Caution!内容に触れていません。>
■ホン・サンス監督作品あるある。
1.基本的に会話劇が中心である。
派手なアクションや、大きな事件は起きない、と言うか映されない。
全て会話に含まれる。
故に、ホン・サンス監督作品を映画館で観る時には、注意が必要である。
可なりの確率で、鼾をかいて寝ているオジサンに遭遇するからである。
2.固定カメラでのショットが多い。
構成としては、男女(複数の場合も多い。)が机を挟んで会話するシーンが多い。
特に、酒を呑みながら且つ食事をしているシーンが多い。
酒瓶は林立する事が多く、又男女問わず喫煙するキャラクターが多い。
故に、観る側は左右の男女の横顔を見ながら、二人もしくは複数の登場人物の会話劇を楽しむことになる。
3.常連の起用が多い。
監督のミューズであるキム・ミニが代表格だが、クォン・ヘヒョの登場回数も多い。ホン・サンス監督を投影しているような、作家や映画監督がメインキャラクターで登場する事が多い。
4.会話のセンスが、抜群に良い。
今作もそうだが、何気ない会話をしつつ、相手の腹を探り合う所など。
5.物語は、ドラマチックな展開は余りない。
が、物語が終わった時には、登場人物の立ち位置が微妙に変わっており、余韻佳き作品になっている。
<ホン・サンス監督は実に多作な方である。
そして、カンヌ映画祭での評価が高い。
画を見れば”あ、ホン・サンス監督作品だ!”と分かる画面構成や、優れた会話劇が高く評価されているのだと勝手に思っている。>