ライスフラワーの香りのレビュー・感想・評価
全1件を表示
【中国、ミャンマー国境沿いのタイ族の村で、都会での出稼ぎから戻った母と娘の最初はギコチナイ関係性から、徐々に心が一つになる様をゆったりと時が流れる如き風合で描いた物語。】
■少数民族タイ族のイエナンは、暮らしを支えるため故郷ミャンマー国境沿いのタイ族の村に娘ナンハンを残し出稼ぎに都会に出ていた。
ある日、13歳になる娘が問題を起こしたことをきっかけに田舎へ戻るが、久々に再会した娘との間には深い溝があった。
イエナンは娘との絆を取り戻すべく奮闘するが、ナカナカ溝は埋まらないのであった。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・これは、私の個人的な解釈であるが、ナンハンは現代中国で近代化から取り残された人たちの象徴、母のイエナンは近代化の象徴として描かれているのはないかな、と思いつつ鑑賞する。
・故に、前半から中盤まではイエナンとナンハンは心の交流が出来ないのである。イエナンは”キチンと勉強しないと都会の大学に行けない。”と詰問し、ナンハンはそれに反抗しつつも携帯のゲームに明け暮れている。
■今作では、村の伝統行事の数々が、美しい色彩で描かれている。民族衣装を着た女性達の祭りでの踊り、結婚式での風習など。
ナンハンの友人、ナンシャンルーが奇病に掛かった際には、病院へ連れて行く前にシャーマンのお婆さんを呼んで祈祷してもらうが、彼女は最初の処置が遅れたために亡くなってしまう。病院のベッドで臥せる娘を、出稼ぎに出ていた両親が呆然と見下ろす姿。
<だが、その事がきっかけでイエナンとナンハンは村の外れにある仄かな光が差し込む洞窟の中の小さな仏像の前で祈りの舞を踊り始めるイエナン。その姿を見て、母と同じようにゆっくりとしたテンポで流れるような踊りをするナンハン。
漸く、母娘の心が一つになった瞬間であろう。
今作は、中国、ミャンマー国境沿いのタイ族の村で、出稼ぎから戻った母と娘の最初はギコチナイ関係性から、徐々に心が一つになる様を描いた物語なのである。>
■今作は、雲南省で撮影されたそうだが、雲南省の都市、昆明(多分、イエナンが行っていた都会であろう。)はとても好きな街である。
住んでいる人たちの顔つきも、今作の出演者と同じように何処か日本人に似ていて性格も穏やかで、笑顔が優しい人が多い気がする。
気候も温暖で、食べ物も美味しかったモノである。
もう、大都会になって人情が薄くなってしまったのかなあ・・。
全1件を表示