「生と死に挟まれた男」スティルライフオブメモリーズ マエダさんの映画レビュー(感想・評価)
生と死に挟まれた男
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女性器だけを撮り続ける写真家という設定に惹かれて観に行った。
実在する「アンリマッケロー二」という写真家がモデルで今作にも登場する。
写真家の主人公はひょんなことから、身篭った恋人と死が間近に迫った母親を持つ依頼人(女性器の被写体)との間を行き来することとなる。
芸術は生と死を行き来するものだが、もれなく彼もそうなのだろう。
やがて怪しく幻想的、官能的な死の方へ魅入られていく主人公。
作品が完成に近づくに従って、ひとつの命の生と死も近づいてゆく。
もっとドロドロした三角関係になるかとも思ったが、実際そこはテーマではなかった。
この作品の登場人物は芸術に対してしっかりとした意思や信頼を持っているので変に昼ドラチックになることもなく(心の揺れ動きはしっかりとある)淡々とそれぞれの日々の移ろいが漣のように進行していく。
僕には「時間」について描かれていると感じた。
モノクロから徐々に色味を帯びていく発色現像などを彷彿とさせる映像や、口だけ描かれていない母親の自画像の物語上の使い道など、そういう細部の演出が良かった。
役者も限界まで身体張ってたし、いいと思います。
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