「心が離れる瞬間」スティルライフオブメモリーズ KinAさんの映画レビュー(感想・評価)
心が離れる瞬間
女性の身体をやたらと「神秘的」だなんだと持ち上げて特別視することが苦手だけど、この作品は意外とすんなり入ってきたので良かった。
被写体の特別感というよりも、撮られる側と撮る側の人間関係と感情の動きにスポットが当てられているような気がした。
冒頭からスライドショーのように流れる春馬(が撮った設定)の接写のフィルム写真がとても魅力的で、自分の一番奥の部分をこんな風に美しく撮って欲しいという気持ちは少し分かるかも。
死に向かう母親を見て、今の自分の何かを残したいという気持ちも。
携帯のメモリやSNSに気軽に自分の痕跡を残せる現在だけど、手に取れる質量のある写真を残すことに意義があるような気がする。
それこそ写真のような構図の画が多く、綺麗だなと思った。モノトーンから徐々に色づく演習が好き。
登場人物全員の台詞の音読感があまりにも強いのが気になった。
そもそもの演技力の問題なのか、あまりリアルにしない敢えての演出なのか…
かなりアートな作風だからこそ日常に寄せた部分を口調や表情で感じたかった。
ボロ小屋に倒れていたものの正体や意味が気になった。
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