ヒトラーを欺いた黄色い星のレビュー・感想・評価
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突然鳴り響くドアの音
ドンドンと突然鳴り響くドアの音に、ヒトラーのお膝元ベルリンで潜伏しているユダヤ人の恐怖はいかばかりか。
当のドイツが作った戦争秘話は、モノクロ記録映像を駆使しながらも、戦争の悲惨さを押し付けるでもなく、ユダヤが故に何処へ送られるか分からない不安で、生きた心地がしなかった思いをドアの音が 追い討ちをかける。
主役がなくドキュメント風になったのやがやや弱いか。
監督:クラウス・レーフレ
生きることが戦い
武器をとる戦いではないが、彼らが生き抜くことそれ自体が戦いだったと思う。
ベルリンにはドイツ人の反ナチの人たちも少しはいて、彼らが潜伏ユダヤ人を助けていた。
ユダヤ人のソ連兵が、潜伏ユダヤ人を抱きしめる所は、ジーンとした。
所々に挟まれる当時の街の映像が、再現映像のリアリティを増している。
映画館で知り合った今から戦地に行くという男性の母親にかくまってもらう事になる、そんなシーンは人間は助け合って生きている事を思い出させてくれる。
困っている人に手を差し伸べられる人は、本当に素晴らしい。
飽きさせない作品のつくり
匿う者の勇気、潜伏する者の勇気それぞれの者たちが緊迫した状況の中で生活する。そういう日々の連続は、決して気分の良いものではない。ナチス帝国の攻撃から何とか自らをを守りたいとするユダヤの者たちの苦悩や焦りが描かれている。この作品中の、家のドアをノックする音は、ドキッとさせられる。しかし、作品の流れを追っていくに従い、ナチスがユダヤ人種に対して、どこか救おうとしているような同情的な場面に出会う所に、意外というかそのような敵国者もいるのだなと感じた。
この作品は、作品中、正に戦争当時の画面が挿入されているところがあり、作品自体が飽きさせない構成になっている。そのためか、より現実性が増し、通常のただ「戦争報告映画」に終わっていない。そのため、映画の中に、スーっと入り込めそうで、作品の作りが上手いなぁという印象を受けた。
それにしても、主役のツィオマが資料を燃やしてしまったり、鞄をバスに忘れたりにする「ヘマ」に、一寸拍子抜けしてしまった。
インタビューと再現VTR
第二次大戦下のベルリンで潜伏した約7000人のユダヤ人の内、終戦まで生き残れた約1500人。
その内の4人を取り上げて実際にどの様に生き残ったかを本人へのインタビューとインタビューに基づく再現映像でみせる。
飽くまでもゲシュタポや密告者からどう隠れたか、どう逃げたかという話で、面白いとか面白くないとかいうものでもないが大変興味深かった。
当時の緊迫感を感じました
事実に基づく作品。
1943年6月19日、ナチスドイツの宣伝相ゲッペルスは「ベルリンからユダヤ人を一掃した」と宣言したが、実は生き残っていた約7000人ものユダヤ人の生きるための戦いを、4人の視点で描いたドキュメント作品。
ナチスに積極的に抵抗したレジスタンスの姿を描いた作品は、数多ありますが、息をひそめて生き延びようとしたユダヤ人を描いた作品は、数少ないのではないでしょうか?“アンネの日記”くらいしか思いつきません。ただ、“アンネの日記”の場合は、結局、アンネは捕まってしまう訳ですが、この作品に出ていた4人は、最後まで生き延びています。全体で生き延びたのは1500人ほどと言われているので、元々残っていたと言われる7000人に対しての生存率は21%ほどだったようです。それが高いのか、低いのかはわかりません。
興味深かったのは、ユダヤ人を守ろうとしたドイツ人も少なからずいた事。ユダヤ人を守ったドイツ人と言う事では、『シンドラーのリスト』のオスカー・シンドラーが有名ですが、それ以外にの街中の人にも、そう言う人が居たんですね。また、そういう人物の中の一人に、ドイツ軍将校が居たのも興味深かったです。
ナチスへの蜂起があるとか、どういうドラマティックな事はありませんが、逆にそういう静かな潜伏が、生き延びた彼らのおかれていた緊迫した状況をよく伝えています。
それもまた
108本目。
もしこの時代にいたら、どう生きてるのかと思う。
自分が自分でいられる自信がない。
でも危険な状況でいる時にリスクを犯す事を選んでる気がする。
それも人間なのかな。
夏休みの時期になるとナチス関連性の作品が多く公開されるのは気のせいかな。
でも日本もそうだけど、戦争語れる人が少なくなってるから、こういう作品はすごく大事だと思う。
諦めずに、生き残ること
原題は「Die Unsichtbaren」で「目に見えない」ですが分かりにくいです。
邦題の「ヒトラーを欺いた黄色い星」もヒトラーは出てこないので、
邦題に釣られて鑑賞すると期待外れになります。
現実は、映画のように単純ではなく、複雑です。
ベルリンで生き残ったユダヤ人は、実力でも、運でもなく、
諦めずに、生き残った人々です。
虐殺されたユダヤ人は、生き残ることを諦めてしまった人々です。
パワハラ、セクハラ、いじめを受けて、生き残ることを諦めて
自殺しても何も価値はありません。
大成建設の社員で、現場監督をしていた23歳の青年に、納期を優先して、
新国立競技場の建設工事を行うように命令し、知っていて、自殺に追い
込んだ人々は、何不自由することもなく、自由に生きています。
NHKの社員で、佐戸未和さんに、都議選と参議院選を取材するように
命令し、知っていて、死亡に追い込み、事実を隠ぺいした人々は、
何不自由することもなく、自由に生きています。
大東建託は、20代、40代、50代の社員に仕事を命令し、知っていて、
自殺に追い込んだ人々は、何不自由することもなく、自由に生きています。
電通の社員で、大嶋一郎さんや高橋まつりさんに仕事を命令し、
知っていて、自殺に追い込んだ人々は、何不自由することもなく、
自由に生きています。
日本政府の政治家、財務省の官僚で、財務省近畿財務局の赤木俊夫に命令し、
知っていて、自殺に追い込んだ人々は、何不自由することもなく、自由に
生きています。
自殺したところで、何にもならないということを学び、自殺すべきでは
ありません。
ベルリンには、危険を顧みずにユダヤ人を助けたドイツ人はいました。
日本には、自殺した人々を助けようとした人はいるのでしょうか?
色々考えさせられる
原題を直訳すると『見えない - 私たちは生きたい』とのこと。邦題に違和感を覚える。別にヒトラーを欺いた訳でもないし…。
ストーリーは淡々と進み、可もなく不可もなくって感じ。
黄色いワッペンとか、イスラエルというミドルネームとかがあったことは初めて知って、勉強になった。
ただ…。監督はドイツ人なんだよね?
日本にも、これと同じこと(現代の感覚で人道的な振る舞いができる人や出来事)はたくさんあったんだろうし、同様に同朋を売る人々だっていたんだろうけど、それを日本で日本人監督が映画化しようものなら、隣国の大国と半島の人々の反発は必至だろうね…。
この作品をユダヤの人々がどう評価をするのかが気になる。
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