「“0”から始まった輝きは、新たなスタートへ」ラブライブ!サンシャイン!!The School Idol Movie Over the Rainbow 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
“0”から始まった輝きは、新たなスタートへ
劇中のスクールアイドルグループ“μ's”として紅白にも出場し、アニメの枠を超えた人気の『ラブライブ!』。
2015年に公開された劇場版は、同時期公開の『マッドマックス 怒りのデス・ロード』『海街diary』を抑え3週連続1位、興収28億円の大ヒットとなった。
その新シリーズとして始まったのが、『ラブライブ!サンシャイン!!』。別の高校、別の主人公たちによる“Aquas”。
でも、紅白も映画も伝説的存在のμ'sだけ…?
ブッブー!ですわ!
Aquasも昨年末紅白に出演し、遂に大スクリーンへヨーソロー!
最初はどうしてもμ'sと比べてしまう。
でも、見ていく内に。
皆美少女なのは勿論、各々キャラも立っている。個人的にお気に入りは、普通にしてりゃ美少女なのに、コメディ・リリーフ&堕天使キャラの善子…いや、ヨハネ!
だんだん愛着沸いてくる。
それに、彼女たちにだって彼女たちのドラマがある。
活動の始まりは、憧れのμ'sと同じ。
閉校の危機にある母校を救う。
彼女たちが通う浦の星女学院は、のどかな自然や美しい海に包まれながらも、地方故入学希望者が集まらず、常に閉校の噂が。
そんな大好きな母校をPRする為に、救う為に、スクールアイドルグループを結成。
“Aquas”として、スクールアイドル最大の祭典“ラブライブ!”出場を目指す。
…と、ここまではμ'sと同じ。
でも彼女たちの場合、状況が一変していた。
μ'sが立役者となり、スクールアイドル戦国時代。
ちょっとやそっとじゃ通用しないほどハイレベルに。
案の定、Aquasとして初めて出場したイベントでは、人気投票数“0”…。
この“0”がAquasの土台となる。
“0”を“1”へ。
徐々に実力や知名度を上げていくも、地区予選敗退。
追い打ちを掛けるように、期限までに入学希望者数が集まらず、閉校が決定。
しかし、再び挑んだ地区予選を見事通過、夢にまで見た全国大会出場も決める。
彼女たちは歌う。母校の名を残す為に。彼女たち自身の為に。
そして、奇跡を起こす…。
見終わってみれば、μ'sにも負けない魅力と努力と感動があった。
さて、前置きがチョー長くなってしまったが、劇場版の感想を。
“ラブライブ!”優勝を果たしたAquas。
μ'sはあくまで9人で居る事に拘り、3年生卒業と共にスクールアイドルとしての活動も終了したが、Aquasは3年生が抜けても、残った2年生と1年生の6人で活動を続ける事に。
ところが、新たな編入先の学校で思わぬトラブルが。
さらに、3年生が卒業旅行で行ったイタリアで行方不明に…!?
これはμ'sの劇場版でも書いたが、物語としてはTVシリーズで完結してしまっているので、幾ら話を続け、広めようとも、“+α”感は否めない。
μ'sの劇場版はあんなに話題になったのに、今回は興行ランキングで初登場8位、厳しい声もちらほら…。
…それでもいいずら!
だってこれは、リトルデーモンたちの為に堕天した究極の贈り物なのだから。
何を言われようともどーだっていいし、そもそもファンじゃなければ見なければいいのである。
それに、例えばファンの為のファンムービーであっても、コナンは良くてこちらはダメなんて事は決してない!
話的にはちょっと欲張り過ぎた気もする。
6人で新たなスタートを切った千歌たちAquasだが、思いの外芳しくない。やはり3年生の存在は大きかった…。
これが話の主軸になるかと思いきや…。
行方不明になった3年生を捜しに、イタリアへ。理由は違えど、海外旅行は二番煎じ。
このひと騒動の原因である鞠莉と母の確執も呆気ない。
そこに、良きライバル的存在の“セイント・スノー”。姉妹2人で活動してきたが、3年生の姉の卒業により、たった独りになる妹は…。
エピソードはふんだんだが、約100分の尺に納めるには…。TVシリーズなら1クールに出来そう。
でも、言うだけ野暮。
彼女たちを大スクリーンで観られるだけで“シャイニ~!”なのである。
彼女たちの魅力。
劇中彩る楽曲の数々。
本格的なダンス。
時折挿入されるミュージカル風演出はμ's同様、劇場版のお約束となった。
TVシリーズが“0”からの輝きなら、この劇場版は新たなスタート。
“0”から始まったAquasの新たな輝きは、まだまだ終わらない。
走り続ける。歌い続ける。